完全生産限定盤BOX仕様『NIAGARA TRIANGLE Vol.2 VOX』(NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition)を聴く!(その1)

このブログ、実は記事にならなかった下書きってのがたくさんあって、その理由の殆どが、記事の内容が古くなってしまったというのが圧倒的なのだが、内容が文句ばかりになってしまったから、というものもかなり多い。そして、その両方を併せ持つこの記事は、ボツになる率が95%くらいだったのだが、ただ、作品そのものに罪はない、と思いとどまって、今になってアップする事と相成った(発売前のブログ記事と内容が重複してしまうがご容赦願いたい)。

ところで、「40周年VOX」なるものは、他にも、2018年のシリア・ポール『夢で逢えたらVOX』と2021年の大滝詠一『A LONG VACATION VOX』が存在するが、小さな不満はあれど、概ね満足に至る代物であった。もちろん、価格には違いがあって、「夢で」は20,000円、ロンバケは23,000円、(いずれも税抜)と大きな開きがあるものの、内容が価格に見合っているものなので、然程の不満はなかった。まあ、あるとすれば、「夢で」の場合、Blu-ray Disc(Blu-ray Audio)が無く、ハイレゾ音源を聴くことが出来なかったことくらい。ロンバケに関しては、VOXでのみの復刻と思われていたイラストブックが、後に分売になったという、VOX購入者の優越感をへし折る出来事があったくらいで、構成されるブツに関する不満は全くなかった。


だがしかし、である。この『NIAGARA TRIANGLE Vol.2 VOX』、価格は19,000円と一番安価なせいもあるが、内容に関しては大いに不満!不満だらけ!なのである。VOXの内容は以下の通り。

Blu-ray DiscBlu-ray Audio)
[NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition] (ハイレゾリマスタリング音源)
[Single Version] (ハイレゾリマスタリング音源)
[カラオケ](ハイレゾリマスタリング音源)
[5.1chサラウンド音源]

CD Disc-1「EACH TRIANGLE 2」
CD Disc-2「EACH SIDE of NIAGARA TRIANGLE Vol.2
CD Disc-3「NIAGARA TRIANGLE Story」

アナログ盤「完全復刻プロモーション用7インチレコード3枚組」
豪華ブックレット
復刻キーホルダー

以上、全7(シングルを分けると9)アイテム。

不満の理由は、まず、このVOXには、本編である「NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition」のオリジナルCDが無い! 何?無いってなんだ?と思う方も多いと思うが、本当に無い、のである。その代わりにBlu-ray Disc(Blu-ray Audio)にハイレゾ音源として収録されているのだ。しかし、そもそもVOXとは、すべてのアイテムが含まれ、それさえ買っておけば、もう、他の商品を買う必要がない、というのが大前提として存在する。そういった意味では、更に同時発売されたアナログ盤が含まれていない事も、大きな不満点のひとつである。作品を全てのフォーマットで所有する、というのがコレクターとしての発想だが、VOXはそのすべてを満たすべき存在でなければならない。物欲が満たされなければ意味がない、のである。それでも、百歩譲って、ハイレゾ音源があるのだからと、諦める御仁も多い事だろう。しかし、である! 実はこのCDの通常盤には、VOXに含まれていない内容が収録されたDisc-2が付属するのだ!!これは酷い。VOX購入者に、更に通常盤を売ろうという魂胆が透けて見える。

不満点のまとめ。
1.本編である「NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition」のCDが含まれていない。
2.通常盤「NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition」のDisc-2の「スピーチ・バルーン 1982」と「スピーチ・バルーン 2012」が含まれていない。
3.本編のアナログ盤が含まれていない。

以上の3点だ。もちろん、価格先行で商品化したのであれば、どうしたって歪なVOXセットにしかなり得ない。つまり、最終的にはどこをどう我慢するのかって話になっちゃう。もしそうだとしても、通常盤にあるものがVOXには無い、って構成は、絶対にあってはならない。まあ、考えようによっては、このVOXは、それくらいの微妙なライン上に存在するのだと言えよう。そして、今回の様にVOX化した場合、当たり前だが、3人の価値に順位が付いてしまうのだ。もっと判り易く言えば、このVOXを、佐野や杉ファンのうち、どれくらいの人達が購入するのだろうか?という事に尽きると思うのだ。結果として、大滝ファンがふたりのファンを背負った形でこのVOXを買っているのと同じ意味になるんじゃないだろうか? 当然ながら、このVOXにはこのふたりの蔵出し音源というものが、異常に少ない。その分が大滝作品に回されているのだ。更に、このVOXは完全生産限定盤だが、発売のアナウンスから予約締め切りまでが非常に短かった(具体的には2021年10月19日にアナウンス、予約締め切りは11月8日)。つまり、予約期間を短くすることによって、危機感を煽り、生産枚数を割り出した可能性があるのだ。それくらい、VOXとして成立させるには、ギリギリの商品だったのだろう。だから、20,000円を超える価格設定にしてしまったら、ナイアガラーすら敬遠するんじゃないか?という危機感もそこにはあったはずだ。結果的に色々と不満の残るVOXになってしまったのは、非常に残念でならない。
(この項続く)