『トミノの地獄 2』丸尾末広 

女優が生んだ双子はその兄夫婦に預けられたが、恒常的に虐待を受け、やがて勝手に見世物小屋へ売り飛ばされてしまう。見世物小屋の興行主ウォンは奇しくも二人の実の父親であったが、その事実はお互いに知る由もない。見世物小屋カタントミノという名前を付けられるが、カタンは火吹きの練習中に火傷を負ったため、体躯を無理矢理奇形に改造する者の元へ売り飛ばされてしまい、カタントミノは引き離されてしまう。

発行は2016.06.06(奥付)。帯の広告は映画『少女椿』。この情報は知らなかった…。

丸尾にしては珍しく長い連載となっている『トミノの地獄』の第2巻。あらすじを字で起こしただけでもおぞましいが、実はこちらが予測していたよりも思いきり酷い事態には発展しない。人体改造のために矯正器具を装着されるカタンは、娘によって助けられるし、トミノ新興宗教の教祖として祀り上げられたエリーゼ(4本の手、足を持つ奇形の女の子)の世話係になるといった具合。まあ、長い間キャラを描いていくうちに情が移ったという気がしないでもない。事実、丸尾のみどりちゃん(『少女椿』)愛は異常だしw 漫画家にはよくある話だ。
それにしても、丸尾の画力は一向に衰える気配がないどころか、近年、益々円熟味を増し、より緻密なものへと進化を遂げている。少し前に諸星大二郎の旧作の新装版に収録された書下ろしの短編を読んだが、その画があまりに酷く、内容もやっつけぽくってがっかりしたものだ。本作の巻末に収録されたカネコアツシとの対談を読むと、丸尾はデジタルは一切使わず、相変わらずオールアナログで原稿を描いているらしい。まあ、いかにも、といった感じだが、逆に丸尾がアプリを使って一瞬でベタを塗っている姿は想像できないし、したくない。
この先、この物語がどういった結末を迎えるのかは全く想像がつかないが、もう暫くのあいだ丸尾ワールドを堪能できるという事実は、この上ない喜びである。