ナイアガラの滝壷に嵌ったら容易には抜け出せない。その理由は、ご存知の通り膨大な量のマテリアルが存在するからだ。活発にリイシューされる多くの音源は新たな音源として認知され、廃盤に収録されていた音源はレア音源として貴重な存在となる。
今回は、前回の記事『Song Book 1(1980-1998)』の補足で、渡辺満里奈「うれしい予感」について。このバージョンは男性コーラスがカットされていると書いたが、それともうひとつ、ストリングスが大々的にフューチャーされている。何度か聴いているうちにふと思い出したのが、大滝詠一のプロデュースで満里奈が96年に発表した『Ring-a-Bell』というミニアルバム。実はこれに「うれしい予感」のアルバムバージョンが収録されていたのだ。なんとか引っ張り出して聴いてみると、これが今回収録されたものとミックスがドンピシャだった。ただひとつ違うのは、こちらは、途中のブレイク直前部分に別サビが追加されているという事。つまり、このミニアルバムのバージョンから、この部分をカットしたものが今回のバージョンと言えるだろう。
整理してみよう…
◎オリジナル・シングル・バージョン(4:12)[OODO 5001][1995.02.22発売]
ご存知、アニメ「ちびまる子ちゃん」の２代目OPテーマ。
◎渡辺満里奈『Ring-a-Bell』収録のアルバム・バージョン(4:21)[OOCO 15][1996.03.21発売]
途中に別サビが挿入されているため曲が10秒ほど長い。また、井上鑑のアレンジによる独立したストリングスが大々的にフューチャーされ、オリジナルにあった男性コーラスは全てカットされている。
◎『Song Book 1 大瀧詠一作品集 Vol.1(1980-1998)』に収録の別バージョン(4:11)[SRCL 5001][2010.03.21発売]
渡辺満里奈のアルバム・バージョンから別サビ部分をカットしたもの。
現在、オリジナル・シングル・バージョンは、ちびまる子ちゃんのサントラ盤等で広く出回っているが、渡辺満里奈のアルバム・バージョンはBOXセットでしか入手できない。中古品を狙おう。
オリジナル・シングルCDと、アルバム『Ring-a-Bell』。エンジニアは共に吉田保だ。
