モビー・グレープの『ワウ』がリイシュー!

モビー・グレープの『ワウ』(Moby Grape "Wow" 1968)がオールデイズレコードよりリイシューされた。今回のリイシューに際して、発売当時、初回限定盤に付属していた「Grape Jam」のトラックが追加収録されている。ただ、2007年に『Grape Jam』のみでリイシューされた時は未発表のトラックが3曲追加収録されていたが、今回は無し!
Wowはもちろん所有していて耳タコだが、今回はこのJamおが目当てだっただけに残念だ。

オールデイズレコードからのリイシューだが、ジャケットが改変されているのが残念。

このJamにはマイク・ブルームフィールドとアル・クーパーが参加しているのだが、このふたり、ご存知の通り、この3年ほど前にディランの『追憶のハイウェイ 61』に参加している。Grape Jamの後、ふたりは同年の68年に『Super Session』翌69年には『フィルモアの奇跡』をリリース。これはこの時のJamをヒントに製作されたと言われている。このSuper Sessionにはスティーヴ(ン)・スティルスが参加しているのだが、このリイシュー盤の解説には驚くべき記述があって、バッファロー・スプリングフィールド時代、スティーヴンはモビー・グレープに心酔しており、彼等の出世作となった「For What It's Worth (Stop, Hey What's That Sound) 」はこの2ndに収録されている「Murder in My Heart for the Judge」をパクり、更に未発表曲となっている「STOP」という曲の歌詞を流用し、Wowよりも先にリリースしてしまったとのこと。先に大ヒットされてしまったため、モビー・グレープは逆にバッファローの曲調に寄せて演奏しているのだとか。しかし、この3人、このWowをヒントに大成功を収めたのにもかかわらず、Wowがセールス的にイマイチだった事を考えると何ともやるせない。
更に、このJamに収められた「Never」という曲、これは以前から指摘されているが、『Led Zeppelin III』収録の「Since I've Been Loving You」の元ネタ。歌詞も類似点が多いし歌い方も意識している。実はロバート・プラントはモビー・グレープの大ファンであることを公言しており、セミプロ時代やZEP解散後には彼等の曲も録音している。そもそもバンド・オブ・ジョイはバッファローやモビー・グレープの様なサウンドを標榜していたらしい。まあ、ZEPのパクり話は今や全く驚かないけど。

youtu.be冒頭の歌詞「working from 11 to 7 every nitght」。完全にパクリだろ(笑)


最後にこれは以前にもこのブログで書いたのだが、このアルバムは1968年に発売されているが、ジャムセッションをおまけという形で本編とは別扱いにし、それをバンド名に引っ掛けて「Grape Jam」としたわけだが、この2年後、即ち1970年にジョージが『All Things Must Pass』を発表するが、ここには本編とは別に「Apple Jam」というセッション盤が収められた。これはやったな。