忌野清志郎 死去

朝起きたら、何もかもが変わっていて、その時、僕らは新しいロックを手に入れたと思った。それが80年代の幕開けだった。そして、その時、RCサクセションはそこにいた。

あの夏の日比谷野音。ようやく陽が傾きかけようとしていたその時、ステージは突如として始まった。「よォーこそ」。木製の腐りかけた座席は、そこに立ち上がると後ろに倒れそうになる。だから、片方の足を前列の背もたれに掛けて、そうやってみんなが倒れないように支えている。清志郎! ああ、こいつが悪巧みの張本人。開始直後、左のPAから音が出ていない。怒号。Gee2woがショルダーキーボードを抱えて、まるで酔っ払いの様な千鳥足でステージを右往左往している。自分で叫んでいるのが声援なのか罵声なのかよく判らない。ただ、何か悪事に加担しているのだという、共犯意識のようなものが、とても気持ちE。体が熱かった。

さて、King of Rockよ。ステージの幕はもう降りたみたいだ。それでもまだ、JBのマントショーのごとく、何度も何度もあのステージへと舞い戻って来そうな気もする。しかし、それはかなわぬ夢だ。偉大なるロック・シンガーを気持ちよく送り出してやろうではないか。葬送曲はもちろん「Dog of the Bay」で。