くらもちふさこ 『as エリス』

個人的な体験談を話すと、以前、YouTubeのチャンネルで、メキシコの14歳の女の子とメル友になった。もちろん彼女が、本当に14歳の女の子である証拠はどこにもない。彼女はアニメやボカロに興味があって、秋葉原(原文では、AKIBAHARA)に行ってみたいと書いていた。不幸にも、この変なおっさん(彼女の中では好青年であったのかもしれないがw)と数回メールを交わした彼女は、最後にこう告白した。「今まで嘘をついていてごめんなさい。私の住んでいる所はメキシコ・シティではなくグアテマラなんです。ただ、日本のアニメやボカロが大好きで、つい嘘をついてしまったんです」と。彼女が本当にグアテマラに住む14歳の女の子であるのかを確かめる術はない。だが、この娘が嘘を付いているとはどうしても思えなかった。何しろ、メキシコではなくグアテマラに住んでいるという告白は、一般的な日本人にとっては、実にどうでもいい事だからである。それよりも何よりも、この少女に対して、最後まで素性を明らかにしなかった自分の方が、遥かに嘘つきであるような気がしたのだ。

ネット上にある仮想世界での出来事である。が、その世界の先には現実世界がある。詰まるところ、仮想世界とは、現実と隣り合ったパラレルな世界ではなく、その延長上に位置する世界なのだ。だが、この世界では、現実世界では有り得ない事が当たり前のように行われる。例えば、見ず知らずの人間同士が、そこいらで普通に挨拶を交わし、お互いの部屋を行き来する。実際にその世界に身を置いてみると判るのだが、こういった行動は、思っている以上に勇気が要る。たとえ知り合いになったところで、その付き合いが長く続くとは限らない。が、それが現実世界と同じように、とても重要な出来事と捉える人だって、当然いる。

※この作品における仮想世界の元ネタは"アメーバピグ"である。だが、現実では、小中学生がやりたい放題をやったせいで(具体的にはピグHや、個人情報のやり取りなど)大規模な規制が入った。大人が考えるよりも、子供は遥かに子供であったのだ。


主人公である"鈴子(すずこ)=りん=エリス"は、とあるきっかけで仮想世界に身を置く様になるが、やがて、現実世界の自分の方が、遥かに実体の無い仮想の自分である事に気が付く。やがて、彼女や彼や彼氏は、現実世界でよりリアルな繋がりを持ち始める。

asエリス (マーガレットコミックス)

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