シタール奏者のラビ・シャンカール氏が12月11日に死去した。享年92歳。ビートルズの、とりわけジョージ・ハリスンのファンとしては、彼の存在を抜きにしてロックを語ることは出来ない。ビートルズが「ノルウェーの森」("Norwegian Wood (This Bird Has Flown)")に於いてシタールを導入した事により、ラーガ・ロックなるものが、一般的に浸透したのだが、この時、シタールを演奏したのはジョージ本人である。彼はビートルズの楽曲の要所要所で、こういった未知なる楽器の導入を試みており、それが後に、ポピュラー・ミュージックのスタンダードとなっている。その代表的なものが、シンセサイザーであり、このシタールである。ジョージはシタールの演奏を真剣に習ったが、弾きこなせるようになるためには、一生を捧げなければならないと悟って、断念したという。ただ、ラビ・シャンカールとジョージの関係はその後も続き、アップル・レコードからはアルバムを発表し、ジョージ主催の『バングラデシュ・コンサート』("The Concert for Bangla Desh"1971)では、OPアクトとして「バングラ・デューン」("Bangla Dhun")を演奏した。また、それより先にモンタレー・ポップスフェスティバル("Monterey Pop Festival"1967)にも出演し、その後も、ジャズやクラシックの演奏者との競演を果たしている。近年では、こういった音楽的な功績よりも、ジャス・シンガーのノラ・ジョーンズのお父さんとして認知されることの方が多かった。ご冥福をお祈りします。
ラビ・シャンカール。アナログ盤『バングラデシュ・コンサート』のブックレトより。
『バングラデシュ・コンサート』より、「バングラ・デューン」