自作機の行方

このブログでは事あるごとに書いているが、ここ数年、据え置き型PCや自作機の勢いが非常に衰えている。ノートPCや、スマホタブレット型端末にその場所を奪われてしまったのが主な原因だ。しかし、それらを使って出来る事は、ハードの性能限界内に限られるわけで、判りやすく言えば、スマホで動画を撮ってYouTubeにアップは出来ても、HD動画を編集してBDやDVDのオーサリングをする事は不可能なのだ。至極当たり前だが、そういった作業を必要としないなら、馬鹿デカイ据え置き型PCも、或いは、自作機を組む必要もないわけだ。
CPUの性能は10年前と比較すれば驚くべきものがあるが、ここ数年は完全に頭打ちである。また、市場においてIntelAMDの格差が顕著になり、以前の様な熾烈な開発競争が無くなってしまった事が自作ブーム衰退の一因となっているのかもしれない(だだ、AMDのバックにはアラブの王様がついているのでw 経営危機に陥る事はないのだそうだ)。AMDは、ご存知の通りATi社(RADEON)を買収し(2006年)、グラフィック機能(GPU)を組み込んだCPU=APUの開発に力を入れてきた。その成果が、次期ゲーム機プレイステーション4に搭載された"Jaguar"である(2基搭載)。PCへの供給が厳しい今、全世界で大きな売り上げが期待できるPS4に採用された意義は大きい。
自作機を組む事の一番のメリットは、自分の目的に特化したマシンを作れることである。一番多いのはゲーマー仕様かもしれないが、自分の様に、全体のレベルをある程度まで上げた、オールマイティな仕様という人も多いだろう。お金に余裕がなくても、後からパーツを追加したり換装したり、そういった作業が気軽に出来るのも自作機の強みだ。正直、OSやOffice等の基本的なソフトは別途購入になるので、超格安に組めるというわけではない(※Windowsには自作機向けに、自作パーツと同時購入で格安に販売されるDPS版というものある)。ノートPCの場合、CPUや各パーツの発熱と廃熱を上手くコントロールできない為、性能の上限は低く抑えられている。つまり、対性能価格ではダントツに自作機に軍配が上がるのだ。ノートで一晩かかる作業(オーサリングやレンダリング等)も自作機であれば、ものの数時間で完了する。6(ヘクサ)や8(オクタ)といったマルチコアCPUであれば、ネットで遊びながらだって作業は可能だ。

ピュア・オーディオの人口が激減してしまった理由のひとつに、若い世代に、オーディオの魅力が上手く継承されなかったという事実がある。ポータブルオーディオの開発にのみ力を入れてきたツケが、今、回って来たのだ。自作機の分野も、次世代にその魅力を伝えていかなければ、いつの日か必ず廃れてしまうだろう。現在の自動車メーカーのあの必死さを見習って欲しいものだ。


パーツ専門店等で見かける無料配布用の自作ガイド。このAMDの冊子は上質の紙に印刷されておりかなり高価な作りだ(実寸は15×21cm)。Intelマザーボード等のパーツ会社と連携してこういった冊子を無料配布している。