ピュア・オーディオの行方

最近じゃスマホやポータブル・オーディオに押されて、すっかり元気をなくしてしまったピュアオーディオ。ポータブル・オーディオ派はダントツに若者が多いが、彼ら曰く、高音質は必要ない、のだそうだ。しかし、彼らが高音質に拘らないのは、"高音質"を知らないからではなく"高音質による音場"を知らないからだと思うのだ。つまり、今時のCDはポータブル・オーディオ向けに調整されているので、音場が極めて狭く、音質もドンシャリの限界まで上げている。それを仮にステレオセットで再生しても、十分な音の広がりや繊細な楽器の音までを体験することは到底不可能だし、ましてや、それらの圧縮音源ならなおさらである。いや、それ以前に、彼らは、わずかな頭の幅(両耳の間隔)に構築される、球形で完結してしまう音場しか体験していないのでは?とも考えられる。だから、まず若い世代、特に中高生に必要なのは、実際にコンサート会場やライブハウスを体験する事だ。そこには、突き抜ける高音に頭蓋骨が共鳴してクラクラしたり、バスドラやベースの重低音で腹の底がズシーンと響いたり、或いは、位相が錯綜して音が様々な方向へ飛び交ったりと、そんなアクシデントも含めて、全ての音を体で体験する事だ。もしも、それが叶わなくても、オーディオセットを所有している友人や知人、或いは、ピュア・オーディオ専門店なんかに出向いて、いわゆる名盤といわれるものを視聴させてもらうのもいい。そこでは、頭蓋骨の大きさで完結しまう音場とは比較にならないほどの世界を感じ取ることが出来るはずである。…とまあ、こんな寂れたブログで力説してみたところで、虚しいだけなんだがw 
さて、今秋、ソニーハイレゾ音源に対応したピュア・オーディオシリーズを発売するそうだ。興味深いのは、そのラインナップにウォークマンがエントリーされている事。要するに、高音質をそのまま、家でも外でも体感できるという事だ。
オーディオをコンポで揃えるとなると、それなりの場所もお金も必要となるが、入門用ならば、ひとつのハードに、定価3万程度の投資でなんとかなる。即ち、アンプに3万、CDプレイヤーに3万、スピーカー2台で6万、合計12万だが、実際には9万以下だろう。また、ピュア・オーディオの世界では邪道といわれた音場型SPも現在では定番化しており、でかいスピーカーが部屋を圧迫することもない。とりあえず、というのであれば、高性能ミニコンポでもよい。とにかく、その首からぶら下げた、クソみたいな小箱から、音を開放してやれ!


近々発売になるHDDハイレゾ再生機"HAP-S1"。ソニーのHPより(こちら)。ネット経由でハイレゾ音源をDLし再生する事が可能だ。