その日、街にヘドロが噴いた

震災は現在も進行形である。余震の震度と回数は記録的な数値を更新し続け、被災者の救済は遅々として進まず、原発は未だ危機的な状況を脱してはいない。
あの日、もしかすると今後大きな問題となるかもしれない現象が関東のとある一帯を襲った…液状化現象である。これは地震発生当時は殆ど報道されず、数日後、ようやく取り上げられるようになった事象である。
私の住む地域は、かつて“海抜0メートル地帯”と呼ばれた、いわゆる東京湾の埋め立地である。液状化現象の危険性は埋め立て当時から指摘されていた様だが、それから数十年の時を経て、実際にこの事象に遭遇したわけである。
具体的な被害としては、液状化によるヘドロの噴出と、その水圧によると思われる道路の亀裂、陥没、及び、上下水道管の破壊。例えば、住宅地の側溝(U字溝)が押し上げられ剥き出しの状態になったり、電柱が傾いたり塀が倒壊したり、道路や庭がヘドロで埋まったり…といった状況が至る所で見られた。隣接区域では、これに起因すると見られる断水や停電といった被害も発生し、道路交通も麻痺した。上下水道が破壊された事によるライフラインそのものの被害は甚大で、ヘドロが敷地内の下水管を逆流して、排水が困難になったり、断水により、給水車も出動するなど生活に重大な支障をきたした…というか、実は10日以上経った今でも解消されず、不便な生活を強いられているのが現状である。もちろん、直接、尊い命が奪われた東北地方の方々の被害に比べれば、こんなものは大した事は無い。しかし、何時の日か、また大震災はやって来るのだ。その時にはもっと甚大な被害を被る可能性もある。その為にも、この液状化現象に対する被害を(状況が落ち着いた後にでも)検証してもらいたいと思うのだ。


近所の公園は液状化によってU字溝が押し出され、電柱は傾いた。


隣接する団地。棟とスロープ部分が大きく分断された。手前ふたつのクレーターからヘドロが噴出。


友人宅は大量のヘドロで駐車場が埋まった。この時既に傾いている右の塀の手前部分は数日後に倒壊。