333

今回の震災により、東京タワーの先端が大きく曲がってしまったというニュースを聞いた時、真っ先に思い浮かべたのが、楳図かずおの大傑作、『わたしは真悟』の一場面であった。


親の都合により離れ離れになってしまうさとるとまりんは、ふたりの秘密の遊び道具である町工場の産業ロボット、モンローに問いただした。
「?ドウスレバコドモガツクレルカ」
モンローはこう答える。「333ノテッペンカラトビウツレ」
やがてふたりは東京タワーの高さが333mであることに気付き、その先端へと上り詰めるが、地盤沈下により30cmも低い事を知ってしまう。
救助用のヘリから手を差し伸べる隊員。しかし、彼らは納得しない。やがて、ランドセルを踏み台に二人は宙を舞った。
…その瞬間、町工場の産業ロボットに命が宿る。やがて彼は、自らをこう名乗った…「わたしは真悟


友人からのメールに添付された1枚の写真。それを目にした瞬間、自分でも信じられぬほどに心が動揺した。
地盤沈下や大震災、多くの人々が気付かぬ内にその日本のシンボルはこんなにも痛めつけられていた。
もう、ランドセルを使っても、333mには届かないのかもしれない。
けれど、日本人はその英知と勇気を持って、新しい何かを生み、育んで行かなければならないのだ。
かつて、さとるとまりんがそうした様に。