レコード再生環境再構築

何回かの引越しを経て、ダンボールにしまったままのレコードが徐々に増えていき、遂にはレコード・プレイヤーすら設置しないまま長い時間が経ってしまった。もう、CDの枚数がレコードの何倍にもなってしまい、その間にLP時代のアルバムも次々とリイシューされ、気付けば、同じアルバムを何枚も所有する有様。ただ、未だCD化されていないアルバムや、CDになってちょこっと編集されてしまったりして、LPでしか聞けない様な作品も僅かながら存在する。また、LPでしか成立しないアートワークってのもかなりある。そうでなくても、LPジャケットのあの圧倒的な存在感には、CDは逆立ちしたって敵わない。
そんなわけで、先日、急に、レコード再生環境を再構築しようと思い立った。クローゼットの奥にしまい込んであったレコード・プレイヤーを引っ張り出して、アンプに繋いでみたのだが、どうも出力系統がイカレたらしく、安定した音が出ない。更に、インシュレーターの内側に内蔵されたダンパーが1箇所奥に沈みこんだまま戻らないので、プレイヤー設置の命ともいえる水平状態が保てない。このプレイヤー、実は友人が引越しの為に捨てる所を寸前で貰い受けたもの。そして、そもそもその友人も、別の友人から、古くなって捨てる所を譲り受けたというw なんだかんだで、購入時より30年くらい経っているのかもしれない。何しろ、Technicsの名機SL-1200MKIIIの前身にあたる機種。ここはもう引退させてあげた方がよさそうだ。そいうわけでヘッドシェルとカートリッジのみサルベージして廃棄処分に。長い間ご苦労様! さて、返す刀で、もう一台。こちらは別の友人から引っ越す時に頂いた(そんなのばっかりだなw)ミニコンポに付属していたプレイヤー。フォノイコライザー内蔵ではない、れっきとしたプレイヤーであるが、オーディオ的な音質は、期待はしないけど、それなりの音は鳴らしてくれるでしょう。さて、今度は無事にセッティングが完了、とりあえず何か1枚鳴らしてみよう。


選んだ1枚は"クレプスキュール"の名を世に知らしめたコンピ盤『ブリュッセルより愛をこめて』(2枚組)。このアルバムは最初、カセット・テープで200本(組)だかそこらしか販売されなくて、その後のリクエストに応えて発売されたのが、このLP版。ただ、これも、青山のパイドパイパーハウスあたりまで行かないと手に入らなかったので、こちらも当然ながら即完売。音はおろか、そのジャケットすら拝むことが出来なかった。TEACの4chMTRで録音されたトーマス・ドルビー(Thomas Dolby)の「Airwaves」やら、YMO繋がりで急速に知名度を上げたビル・ネルソン(Bill Nelson)、ニューオーダー(New Order)、ザ・ドゥルッティ・コラム(The Durutti Column)、アンテナ(ANTENA)等、ポスト・ニューウェーブの連中の音源がてんこ盛り。おまけに、ブライアン・イーノ(Brian Eno)や女優ジャンヌ・モローのインタビューや、リチャード・ジョブスン(Richard Jobson)の詩の朗読まで収録されていた。このアルバムを入手したのは、発売からかなり経っていたが、恐らく、CDとレコードの売り上げが逆転した頃(89年頃?)かな? 御茶ノ水ディスクユニオンの何号店か。当時は中古レコードの価格が大暴落していて、このアルバムも確か2千円台で買った記憶がある。幻の名盤とまで言われていたものだったので、見つけた時は手が震えたが、価格と盤質Aを見て思わず目を疑ったのを今でも鮮明に憶えている。2度ばかりCD化されているが、毎回一部収録曲が異なる。97年にリイシューされた際の、聴き取りにより起こされた歌詞は間違いだらけで興醒めした。現在は2007年にリイシューされたものが入手可能だ。

ブリュッセルより愛をこめて』"FROM BRUSSLES WITH LOVE(1983 EDITION)" タイトルは、もちろん、映画007からもじったものだ。


ザ・ボーダー・ボーイズ(The Border Boys)の「When Will You Be Back?」が一番のお気に入りだったが、収録はこのLP盤のみ。
トラットリアから発売されていたルイ・フィリップのベスト盤に収録されているので、中古を狙おう!

I Still Believe in You

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ブリュッセルより愛をこめて (輸入盤 帯・ライナー付)

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