『僕はビートルズ』が完結!

かわぐちかいじ×藤井哲夫(原作)の『僕はビートルズ』の9〜10巻が同時発売となり、遂に完結した。
※以下ネタバレ注意!
後楽園球場でのコンサートも無事成功し、コンベンションの為に渡英したFAB4のメンバーは、現地でビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインに面会を求める。最終的に、マネージメント交渉は決裂するが、コンサート会場で、彼等は遂にビートルズと邂逅する。彼等に全ての真実を打ち明けるFAB4だが、勿論相手にはされない。ビートルズの演奏を目の当たりにしたFAB4は、最早自分達の存在意義がこのバンド活動には無い事を悟る。最終的な結論を時の流れに託した彼等。ショウは自分の命の証である、少年時代の実の父の元へと出向くが、そこで知った現実とは…。
とまあ、最後の最後は明かさないでおくが、物語の結末として、納得の行く部分とそうでない部分がある。ビートルズより先にデビューしてしまおうとする目的のひとつに、彼等の新曲、つまり全く聴いたことのない、214曲目から先を聴く事が出来るんじゃないか?という目論見があった。それは果たされるが、結局はその新曲が彼らの活動に引導を渡す結果となった。それは納得できるが、これだけのブームを作ってしまった彼等を時代が忘れるわけが無いだろうし、その揺り戻しがあってしかるべきだと思うのだが、その部分はなぜかオミットされている、というか、そもそもその考えが存在していなかったのか? 時代は彼等に対してあまりにも寛容すぎたと思うのは私だけだろうか? それでも、さすがにタイムスリップモノの大家、かわぐちかいじ。全10巻という今時にしてはコンパクトな尺の中に、面白さを上手く凝縮したと思う。特に、ビートルマニアも納得の、時代考証や、楽器、機材の描写には舌を巻くものがあった。これはコミック作品としてだけでなく、ビートルズ関連の専門的な書籍のひとつとして、その書架に収蔵されるべきであろう。


初版のみ、ビートルズの演奏部分がカラーページとなる。さらば、FAB4!!

僕はビートルズ(9) (モーニング KC)

僕はビートルズ(9) (モーニング KC)

僕はビートルズ(10)<完> (モーニング KC)

僕はビートルズ(10)<完> (モーニング KC)