Pearl Mini Cajon "TRINOS" パール ミニカホン "トリノス" (PMC-TRS) を手に入れた!

兎にも角にも、コロナ禍が早く収束してくれないと、この手の小物収集が止まらない!(笑)
というわけで、今回はパールのミニカホントリノス(Trinos)を買ってみた。一般的なカホンの大きさは、大体46センチ前後の高さと、30センチほどの幅と奥行だが、このトリノスは143x146x234mmとかなり小さめ。サウンドホールのある裏側から見ると、まさに鳥の巣、なのである。

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材質は、打面以外の筐体がMDF、打面がラバー・プレイウッド(ゴムの木?の合板)。打面内側には、スナッピー(スネアのスナッピーを半分にぶった切ったもの?)が、取り付けられている。打面は木ネジ止め、他は張り合わせ。表面の仕上げはプリントではなく、きちんとした塗装が施されており、普通のカホンと遜色のない作りとなっている。

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肝心の音の方だが、当然ながら低音は出ない。打音も音程が高いので、ややヒステリックな印象を受ける。カホン特有の、あの、ゆる~い音は期待できない。しかしながら、これは全て大きさに起因するもので、音質的にはかなりの緻密さがあり、見た目同様、おもちゃっぽい印象は全く受けない。
演奏するには、その大きさから、椅子に座って両腿に挟んだり、胡坐をかいて打面を上にするのがベストだろう。サウンドホールが体で遮られてしまうが、音の大きさには然程影響しないようだ。定価は4,730円だが、実売は4千円を切る。
なんといっても、その大きさから、どこにでも持ち運び可能で、すぐにセッションが出来るのがいい。満足度は100点満点だ!

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大滝詠一『A LONG VACATION VOX』【完全生産限定盤】を聴く(その2)

では、さっそく聴いてみよう!…と、その前に、今回収録された本編の2021リマスターというのが、全くの新しいマスターからのリマスタリングという触れ込みなんだが、同梱されている分厚いブックレットにも、発売前に刊行された『レココレ3月号』のロンバケ特集にも、その詳細が全く記されていない。どうやら、今回のVOXの詳しい内容については、かなり厳しい箝口令が敷かれたらしい。む~ん、参った。この出自の判らない、何か得体の知れぬマスターを聴いたあと、どう解説すればいいのだろう? そこで頼みの綱となったのが、ステレオサウンドから出版された『大滝詠一 A LONG VACATION読本』である。しかし箝口令のせいか、発売日が3月30日なのである。ようやくブツが到着。記事中、エンジニアの内藤哲也氏の発言から、このマスターが84年に作成された「A LONG VACATION SINGLE VOX」用のマスターのセイフティーマスター、即ち、予備として作られたマスターであることが判明した。この「SINGLE VOX」マスターは、企画自体がボツになったため、当時は使用されなかったが、U-Matic(デジタル)にコピーされたもの(第3世代)が91年の「CD選書」で使われ、更にU-Maticにコピーされる前の元コピー(第2世代)が2011年の「30周年記念盤」で使用されている。つまり、基本的には、「30周年記念盤」と今回の「40周年記念盤」に使われたマスターは、限りなく同じものに近い、いわばクローンみたいなものと言ってもいいだろう。ただ、記事を読むと、このマスターにはこすられた(再生した)形跡がほとんどないとのこと。つまり、保管されたまま、ほぼ手付かずだったというわけだ。このこすられていない、というのがリマスタリングに際してどれくらい有利なのかは、正直、一般人には計り知れない領域だろう。だが、内藤氏は、生前、大滝が言っていた、前回と同じ音になるならやらない方がいいという考えを踏襲しているので、まったく変わりがない、ということではないのだろう。

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 では、Disc-1.のCD盤に収録された本編「A LONG VACATION 40th Anniversary Edition」から聴いてみよう。「君は天然色」の冒頭、チューニングのシーン。一聴して判るのが、空気感の違いの様なものと鮮度の良さで、やはり、ピアノのポーン一発が判定のキモだ。一番驚いたのが、イントロのアコースティックギターが鳴った瞬間のピッキングの音。この部分はアコギだけで4人が一斉に鳴らしているのだが、ここでのピックが弦に当たる時の音が極めて明確に聴こえる。録音時はアコギ4本、パーカッション4台、エレキギター2本、ウッドベース1本、エレキベース1本、アプライト2台、グランド2台、ドラムス1台の、総勢17の楽器が一斉に鳴っており、この各楽器の微妙なズレが、ウォールオブサウンドを作り上げているので、こういった細部の音は埋もれてしまいがちだ。いや、埋もれてもいいんだが、完全に埋もれてはならない、とでもいうべきか。つまり、今回の音は、耳を研ぎ澄ませれば、そこのちゃんとあるじゃないか!という音なのだ。だから、前回の30周年記念盤でも、こんなに楽器が鳴っているんだ!という発見があったが、今回は、こんな音まで入っていたんだ!というところか。とにかく30周年記念盤とは明らかに違う音、なのである。

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つぎにBlu-ray Discに収録された本編を聴いてみる。正直言って、当たり前だが圧勝! まず、君は天然色で、とんでもないところから飛び道具の様にいろんな音が飛び出してくる。一瞬、あれ?サラウンドか?と錯覚するほどで、とにかく音場の広がりがハンパない。でもそれは、一瞬あたまを動かすだけで聴こえなくなったりするので、絶妙なセッティングの上で聴こえるということなんだろう。そういえば、昔、スピーカーのセッティングで、それこそ1㎝単位で調整していたが、それ、またやるのか?(笑)、というくらいの誘惑に駆られる音なのである。もっとも、今時のAVアンプにはセッティング用の計測マイクが付いてるので、以前よりは楽に出来るんだろうけど。

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BDのモニタ上の操作画面。

さて、本来ならアナログ盤やカセットテープの音についても述べたいところだが、いかんせん、レコードプレイヤーは普及品、カセットデッキに至っては、故障したまま10年以上が経過しており、再生できる環境にない。ということで、今回はオミットさせていただく。 

最後になるが、この40周年記念盤、当然ながらエンジニアとしての大滝は不在である。生前、ハイレゾ音源に対しては(一度は手を出したが)否定的で、まだ時期ではない、というような事を言っていた。それは、もちろんSACDも同じだろう。ただ、今回の「VOX」を手に入れて気付いたのは、この40年の間に、自分は様々な事を学習したという事実だ。それは、オーディオの事だったり、エンジニア的な事だったり、或いは、フィル・スペクターの事だったり、中三の時やっとの思いで手に入れた『All Things Must Pass』の再研究であったり、アメリカン・ポップスの事であったり…etc。とにかくこのアルバムを知ろうとして仕方がなかったのだ。それに費やした音源や書籍は膨大な量に及ぶ。恐らくこのアルバムを愛した多くの人も同じで、40年という長期に及ぶたくさんの経験と思いが凝集して、この40周年記念盤が出来上がったのだろう。だからこそ、向き合い方も変わる、聴き方も変わる、そして音が変わる。それは、オーディオ的な評論という範疇からは、大きく逸脱した聴き方なんだが、それはもう仕方がない。なにしろ、これを死ぬまで聴いていくことは、もう決まった未来なのだから。

この項、完。

 

 

 

 

 

 

 

大滝詠一『A LONG VACATION VOX』【完全生産限定盤】を聴く(その1)

ロンバケの日である3月21日に、『A LONG VACATION』発売40周年記念としてリリースされたマテリアルは3種類で、通常盤CD(の初回仕様限定盤2枚組)、アナログ盤LP、そしてこの『A LONG VACATION VOX』である。

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このVOXに収蔵されている音源フォーマットは、Disc-01~04.までが通常のCD盤、Dsic-05.がBDでオーディオのみの収録。Disc-06~07.に相当するのがアナログ盤LP、そしてDisc-08.に相当するのがカセットテープ、となる。大瀧は生前、ロンバケ40周年記念盤を制作する際は、現時点で流通しているすべてのフォーマットで発売したいとの意向を示しており、その遺志通りにリリースしたと思われるが、現在でも新譜が流通しているフォーマットとしては唯一SACDだけが抜け落ちてしまっている(カセットは、実は細々と演歌方面で流通しているらしい)。しかし、箱を開けて一番最初に飛び込んできたのがこの告知!「Super Audio CD 近日発売予定」。さすがのSONYも今やハードの生産を中止しているくらいだから、GOサインが出るのに手間取ったか?

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さて、肝心の収録内容だが、Disc-01.が本編である「A LONG VACATION 40th Anniversary Edition」で、最新の2021リマスター。Disc-2.が大滝詠一本人がDJ風に語るロンバケまでの道のり、その名も「Road to A LONG VACATION」。Disc-3.が「A LONG VACATION SESSIONS」でテイク違いや未発表曲が収録。Disc-4.が「A LONG VACATION RARITIES」でロンバケ関連の珍しい音源が収録されている。
Disc.5のBDオーディオだが、『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』(5.1chサラウンド音源)、『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』(ハイレゾリマスタリング音源)、『Sing A LONG VACATION + Fiord 7』(ハイレゾリマスタリング音源)、『A LONG VACATION TRACKS and More』(ハイレゾリマスタリング音源)、以上4本のセクションから構成されている。

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アナログ盤LPだが、同時に発売されたLP盤とは異なり、ハーフスピードカッティングによる45回転の重量盤2枚組となっており、より高音質での収録となっている。なお、アナログ盤もカセットテープも今回の最新マスターが使用されている。

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つぎに、VOXに収められた音源以外の付録を紹介していこう。まず、豪華ブックレット。これはCDが収められている見開きのケースに中に納まっており、中身は大瀧のインタビュー、ロンバケ関連の様々な資料がてんこ盛りに掲載されており、概ね満足できる内容だ。冊子の仕様も、シリア・ポールの『夢で逢えたらVOX』の様なホッチキスの中綴じではなく、糊付けによる無線綴じで重量もそれなりにある。

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他に、79年に刊行された「A LONG VACATION Art Book」(大瀧詠一著/永井博イラスト)が完全復刻。現在は中古市場でもかなりの高値で取引されている。

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最後に、ナイアガラ福袋なる、細々としたグッズの詰め合わせ。内容は当時の販促ポスターや絵葉書、ステッカー、業界向けのプレスシート、缶バッチ(バッチはボックスに同梱)。

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上)この写真のみオフィシャルより。セットの全貌。

 というわけで、いよいよ実際に聴いてみよう!…と思ったが、長くなるので、この項、続く。

 

 

 

 

PAiSTe 2002 SPLASH 8" を手に入れた!

PAiSTe 2002 SPLASH 8"である。今更述べるまでもないが、この2002シリーズは名器である。ボンゾ、イアン・ペイス等、名だたるドラマーに愛用されてきた歴史あるシリーズで、その響きは未だ他の追従を許さず、現在でも世界中のドラマーから愛用されている、いわば、シンバル界のレジェンド的存在なのである。自分にとってこのシリーズは、10代の頃からの憧れだったが、なにしろ高かった。今は、ネット販売が一般的になり、価格もそれなりに下がってきているが、ワンセット揃えるとなると、当時の十代の身としては、ちょっと手が出せない代物だったのだ。しかし、どうしてもPAiSTeブランドが諦めきれなかったので、一番安いDEXIという(パールとの共同開発)シリーズを使っていたのだが、それでも他の国産モノとは比べ物にならないくらいのクオリティだった。
ところで、これまでは、10インチで揃えて来たスプラッシュだが、音の響きは違えど、音の高さに関しては、当然ながら決定的な違いが出ないので、これはもう、8インチか、それ以下のものを購入するしかないと思っていたのだが、この大きさであれば、2002シリーズとて大した価格にはならないじゃないか! と、まあ、そんな理由を付けて、PAiSTe 2002 SPLASH 8" を手に入れた!、のである。

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 さて、実際に現物を見てみる。なんといってもこの色、輝き、そして表面に印字された2002のマークとロゴに思わずうっとりとしてしまう…まあ8インチだけど(笑)。そして、実際に鳴らしてみると、スプラッシュのくせに、中音域の鳴りが凄い事にまず驚かされる。強めに爪で弾いてみただけで、コーンという音が耳の奥から入り込んで、頭蓋骨を内側から共鳴させるくらいの鳴りだ。そして、2002特有の、あの高貴な高音域。同じスプラッシュでも、今までのものとは、全くの別次元の音、そして鳴りなのである。正直に言えば、このスプラッシュだけが突出してしまい、他の音…特にエフェクト系でないColor Sound 900がどうしてもくぐもってで聴こえてしまうのだ。こうなると、10.12.と2002で揃えたくなるが、いや、それをやったらキリがない。これにて打ち止めということにしておこうか…今はね(笑)

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PAiSTe PST X SPLASH Stack 10"/8" を手に入れた!

前回の…PST X Swiss Splashを手に入れたという記事からもう4か月。その間に、様々なアイテムをゲットしたので、ここらで整理しておきたいと思う。
まずは、PAiSTe PST X SPLASH Stack 10"/8"から。前回のSwiss Splash 10"はサスティン効果が思ったよりも長く、一般的なスプラッシュとは一線を画すサウンドが気に入ったのだが、今度は逆に、思いきりサスティンの短い、つまり、ギミック的な効果の大きいものが欲しくなった。そこで目を付けたのがスタック。スタックは、その名の通り、重ねて使うものなんだが、重ねるのだから、当然、サスティンは短い。ギミック的な効果というよりも、ほぼ、ギミックとしてしか使えない(笑)。まあ、フィルやソロなどで、流れを強制的に断ち切るような使い方が面白いだろう。PAiSTe PST Xのスタックは2種類あって、ひとつは10"/8"、もうひとつは12"/10"の組み合わせだ。今回は10"/8"を購入することにした。

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購入したスタックは、トップが10インチ、ボトムが8インチとなる組み合わせ。スタックは通常、ハイハットとは違い、同じ向きに重ねて使うのだが、この10"/8"の場合はちょっとイレギュラーで、トップは穴開きで、フォルムは一般的なシンバルと同じ。しかし8は穴なしで、カップが逆転した形状。したがって、一見すると普通にハイハットと同じようなセッティングに見える。
セッティングの際、ネジの締め付けを強くし過ぎると、全く音が響かなくなる(ほぼ聞こえない)ので、多少のゆとりが必要となる。フェルトの厚みや噛ませる場所を試行錯誤して、脱落しない様なセッティングを心掛けたい。因みに最初の頃は何度か脱落して冷や汗をかいた。また、PST Xシリーズ全般に言える事だが、スティックの先端を穴に突っ込んじゃうって事故が何度かあった。これは、シンバルをかなり低い位置にセッティングしてしまうと起こりがち。よって、リズムを刻む様な使い方をする場合には要注意だ!


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PAiSTe PST X Swiss Splash 10" を手に入れた!

今年はコロナ禍の影響でやりたい事がほとんどできなかった…なーんてのが、実は体のいい言い訳になっていたりして、ちょいと忸怩たる思いに駆られたりする今日この頃。しかし、自分も含め、音楽仲間たちが、思う様にバンド活動や音楽活動が出来なかったというのは事実で、活動形態の変化を余儀なくされたりもした。自分の場合、顕著だったのが、ドラマーとしての活動が激減し、代わりにパーカッションでのそれが増大した事。これは、フルバンド形態での活動が制限され、より少人数、小音量での活動へとシフトしたためだ。しかし、正直に言えば、パーカッションの演奏はド素人も同然で、一般の人が考える…ドラム叩けるんだからパーカッションなんて楽勝でしょ?という考えは全く当てはまらない。これは、ギター弾けるんだから、ベースなんて楽勝でしょ?というのとほぼ同じで、そうは問屋が卸さない(死語)、のである。

ところで、以前の記事でPAiSTeのColor Sound 900 SPLASH について書いたのだが、正直、スプラッシュシンバルは、ある程度の力で叩かないとあのインパクトのある音は出せない。つまり、弱く、小さな音ではあの特徴的な音を生かすのは難しいのだ。もちろん、ドラムセットでの使用であれば何ら問題ないのだが、小音量でのパーカッションという事になると、話は多少違ってくる。Color Sound 900の場合、とにかく見た目のインパクトは凄いのだが、もう少しサスティンの長い、クラッシュとスプラッシュの中間辺りの音が欲しい。欲を言えば、見た目のインパクトが大きければなお良い。いろいろと探しまくった結果、PAiSTeのPST XシリーズのSwiss Splash 10"が気になった。このPST Xというシリーズ、メーカーによると、うるさい、汚い、厄介(Noisy, Dirty & Trashy)、な音らしい(笑)が、最近では多くの人がYoutube等でレビューをアップしたり、メーカーサイトでも音源も公開しているので、実際に現物を̪試打するまでもなく音を確かめられたりする。その結果、見た目よりもサスティンが長い事と、軽く叩いただけでも、ある程度の音量を出せることが判明したため、購入へと踏み切った。

f:id:hisonus:20201208162920j:plainPST X Swiss Splash(手前)。表面は荒く研磨を掛けたような仕上げになっている。

 さて、このPST X Swiss Splash、何と言っても、一見ランダムに空けられた(実は計算されているらしい)大きさの違うホールが特徴的だが、上述の通り、サスティンは思ったよりも長い。もちろん、長いと言っても所詮はスプラッシュなので、用途的には一時的にインパクトを与えるものとして使うのが正しいのだが、パーカッションの一つとして扱う場合は、そこまでうるさくないクラッシュ、といった存在として使えるのである。音質的にはチャイナのサスティンが伸びた、という感じか。実際にライブで使ってみたのだが、その時はブラシでの演奏だったので、思う様な効果が得られなかったのが残念だったが、恐らく、ロッドを使った方がコントロールしやすいと思われる。もちろん、見た目という点では申し分ないインパクトを与えることが出来る。今度はちゃんとしたドラムセットに組み込んで叩いてみたい。

f:id:hisonus:20201208163024j:plain 見た目のインパクトは確かに大きいが、コントロールは意外と難しかった。(PinGreのサポート。BLACK CAT TIGER 永吉 ROCK’N ROLL HOUSEにて。)

 

 

 

キング・クリムゾン『クリムゾン・キングの宮殿』50周年記念エディションを聴く

キング・クリムゾンクリムゾン・キングの宮殿』が発表されたのが1969年。それからなが~い年月を重ねて、去年でなんと50年! それを記念して発売された本作品だが、音源はどれも似たり寄ったりで、食指を動かされる理由は実はさほどない。それでもこれを購入しようと思ったのには、もちろんいくつかの理由があるが、最大の理由がこれ。かつてCD化された際に使われたマスターテープは実は第二世代、つまりコピーであり、オリジナルのそれは長らく行方不明であったのだが、そのオリジナル・マルチ・マザーが2003年にレコーディング・スタジオの流しの戸棚から発見され(初めて情報を目にしたのがこの記述だったのだが、2020年1月のレココレの記事では、ヴァージン・レコードの倉庫で発見、となっている)、それを元に新たなマスターが製作され(厳密にはリミックスとなるわけだが)、以降、これがリファレンスとして適用されている。ところがどっこい、この新マスターの音盤を所持していない。それ以前のCDは既に2枚も所有しているんだが、やはり、どうしても聴いてみたい!という欲求には抗えなかったというわけだ。幸いにして、ジョージのBOXを買った時に付加された、期限切れの近い高額のクーポンがあったから、という一文も付け加えておこう(笑)

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一番手前のジャケットは、色調を無視し、Wジャケットをシングルに変更し、更に左下のステッカーの様なものまで直に印刷してしまったという、やりたい放題のトルコ盤の復刻紙ジャケ。(日本盤のみの特典)

 

さて、その内容をざっと紹介しておこう。

Disc-1「2019 ステレオ・ミックス & インストゥルメンタル・ミックス」

Disc-2「オルタネート・アルバム, エクスパンデッド・エディション」

Disc-3「オリジナル・マスター・エディション, エクスパンデッド」

Disc-4  はブルーレイ・オーディオ中心で詳細は後述。

 

Disc-1.は文字通り2019年版リミックス&そのインスト。

Disc-2.はオルタナ音源と、オケからVoだけを抜き出したり、ジャッコ・ジャックスジクのVoに差し替えたりと、あの手この手を駆使して作られた新ミックス音源。

Disc-3.は前述の通り、オリジナル・マルチ・マザーを元に忠実に再現された新マスター(2009年リミックス)と、2枚目と同じくオルタナ音源。

Disc-4.はBD。CD3枚の収録曲全て+2019年版5.1chサラウンド・ミックス+映像クリップ。収録フォーマットはDTS-HD MA 5.1 & LPCM 5.1/DTS-HD MA Stereo & LPCM 24/96。このうち1枚目に収録されたインストの「ムーン・チャイルド」エディット・バージョンは、オリジナルの尺で収録されている。映像クリップは、例の69年ハイドパークの「21世紀の~」。

前述の通り、どうしても聴いてみたかったのはDisc-3の2009年の新マスターであるが、作業はデジタルデータとしてストレートコピーしたのち、オールデジタルで行われているため基本的には劣化しない。それをそのまま大元のLPレコードの音に極力近づけたという印象。音が塊となって押し寄せるかんじは、マスターのコピーを使った初CD化時の音とは一線を画す。

それにしても、である。このアルバムが発売から50年経った今でも、全く色褪せない事に、正直驚きを禁じ得ない。「21世紀の~」は今でも頻繁にCM等で取り上げられるという現状を、当時、一体だれが想像したであろうか?