書籍の広告に物申す

以前、かわぐちかいじの『僕はビートルズ』の巻末にあった次巻予告に対して苦言を呈した。それは、それがネタばらし以外の何ものでもなかったからだ。同じ講談社刊行のコミックはこういうことを平気でやるので、連載をリアルタイムで読んでいない者は注意が必要だ。だが、こういった罠は色々な所に潜んでいるもので、先日も朝日新聞夕刊に連載されている『天才柳沢教授 孫・華子との生活 Special Short Short』の紙面に掲載されていた『モーニング』の広告で、『僕はビートルズ』のネタバレに遭遇してしまったのだ! 全く持って油断も隙もありゃしない。これまでの苦労が水の泡だ。
怖いのはコミックだけではない。現在刊行中の北方謙三『楊令伝』の文庫版。これは毎月1巻ずつ刊行されているのだが、発売日辺りの新聞広告がかなり危険だ!この場合、ひとつ前の巻のネタバレがキツイ。つまり、前巻のあらすじを必ず引用してくるのだ。全ての人が直前の巻までを読了している訳ではないのだから、少しずつ楽しみに読み進めている人間にとって見れば、これは致命的だ。また、以前紹介した岩井俊二の最新刊『番犬は庭を守る』。この帯にはストーリー中盤辺りまでのあらすじがすべて書かれてしまっている。実際にこの本を読み進めていくと、すべてが帯に書かれた内容そのものである事に唖然とした。当然ながら、これが公式の紹介文として一般に流布されているわけで、いくら社会的に話題にしたいからといっても(原発事故後の世界といった部分を売りにしたかったのだろうが)、先にストーリーが読めてしまっては興醒め。読者の気持ちを蔑ろにするような売り方は、是非とも慎んでもらいたいものだ。


この最新巻にも巻末には次巻の広告がある、が、怖くて見ることは出来ないw