THE BEATLES ON STEGE IN JAPAN !

1〜2ヶ月に1度のスタジオ・セッションが終わると、毎回定例の飲み会へと移行するんだが、話題の9割9分は当然ながら音楽の話となる。その話にしても、ビートルズを避けて通る事は絶対にないというビートルマニア達の会話は、恐らく、他人が聞いたらまるでとんちんかんな話なんだろうけど、おっさん達は、極めて真面目なのであります。前回は…、例えば、ブログでビートルズの記事を書こうとして、ネットでちょっとした事を調べる。そうすると、自分が今まで知らなかった様な事が、ボロボロと出てくる。そうして、自分が彼らの事について如何に無知であるかを思い知らされる…とまあ、そんな会話だったかな。それで、BassEmo氏が最近知ったというビートルズネタを教えてくれた。ビートルズの日本公演は2日間あったのだが(1966.06.30 1回。07.01-02 各2回の計5回)、初日はチューニングを半音下げて演奏しているのだという。彼らにしてみれば、こんな東の果ての島国の住人なんぞどうせ大した事ないだろうから、まあ、気楽に行こうぜ!といった感じだったのだろう。ところが、蓋を開けてみたら大違い。観客は、他のどの国よりも大人しく、彼らの演奏をちゃんと聴いているではないか! 半音下げ、という演奏はスピード感が削がれるため、どうしてももっさりとした印象を与える。ましてや、歓声が極端に少ないため、ライブ自体が盛り上がっていない様にも見える。この時、TV局(日本テレビ)がこのライブを収録していたのだが、ブライアン・エプスタインは、当然の事ながらこの日のテイクに満足せず、2日目に撮り直すことを命じた。もちろん、チューニングもオリジナルに戻して!
とまあ、こんな話で盛り上がったその翌日。YouTubeでこの両日を比較してみる。むむ、確かに1日目のチューニングは半音下げだ。そうすると、自分が中二の頃に買ったブート盤は、このクソ演奏だったのだな。実は、他の海外公演の音源を聴くと、もうちょっとスピード感があって(リンゴのドラムなんかは全くノリが違う)、日本は手を抜かれたのだといった印象を当時から持ち続けていたのだ。


アナログ盤時代、ブート盤としては爆発的に売れた『five nights in judo arena』

6月30日と7月1日の公演。黒いスーツが30日、明るいグレーが1日と憶えるとよい。30日はビートルズ自身も"あれっ?なんか客が何時もの感じと違うなあ"という表情なのが判る。1日は、心機一転、仕切り直しといった感じで、演奏にもキレがある。因みに、2日(3日目)のライブ映像、音源はごく一部を除いて殆ど残されていない。





レコード・コレクターズ』誌では、もう3年以上にわたり「ビートルズ来日学」という連載を続けている。来日時の関係者、例えば、ホテル従業員、送迎の運転手、カメラマン、TV局関係者、共演者等々のインタビューを、これでもか!というくらい、延々と続けているのだ。当然、前述のTV収録に関する事も書かれており、ビートルマニアは必読だ(恐らく単行本化されると思われる)。そして、去年の暮れに発行された『Beatleg』(2月号 Vol.151)は、そのビートルズのライブ特集であった。この雑誌はその名の通り、ブート盤の紹介をメインに、その音源から、当時のアーティストの動向を掘り下げ、研究して行くといった編集方針だ。音楽マニアの行き着く果てといった感じで、もう、この雑誌の存在自体がある意味退廃的であるw



かつて、ストーンズツェッペリンのアイテムに手を出すと人生棒に振る、みたいな事が言われていた。何でも、ストーンズ関係のオークションやコレクターズアイテムの交換会では、最低でも百万円以上の軍資金を持っていくのが当たり前で、ZEPに関しては、ブート盤のアイテムの多さと価格の高さで、毎月かなりの枚数の諭吉が消えて行くと言われていた。かつて西新宿に足繁く通った身としては笑い事じゃあないが、そういったものに、湯水の如く金を使っちまうっていうのが男の性(サガ)ってもんよ。と納得したところで、他人から見れば、やっぱりただのバカなんだろうなあ…。

beatleg magazine 2月号 (vol.151)

beatleg magazine 2月号 (vol.151)