お正月に何を聴く? 2015 (Part-1)

明けましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします。
というわけで、恒例となりましたこのシリーズ。今年一発目に聴いた音楽をただただ書き綴るだけの内容でございます。今年のテーマは、ズバリ"原点回帰"!。要するに、一番最初に買った洋楽アルバムって事なんですが、この時期になると何時も思い出すのが、中学1年生の冬休み。ビートルズに興味を持ち始めたんだけど、どのアルバムを買えばいいのか判らない。だから、とりあえず『赤盤』『青盤』買っときゃ間違いないだろう、みたいな。ところが、当たり前だけど、先立つものが無い。そうなると、必然、手に入れ易いのは、お年玉が入って懐の暖かい正月という事になる。こうして、中1の正月に無事この2枚を手に入れることが出来たんだが、今思えば、それが自分の人生の中での一番の分岐点で、もしもこの2枚(2組)を買っていなかったら全く違う人生を送っていただろう。それが良い事なんだか悪い事なんだか、もちろん判りはしないんだけど、ひとつ言えるのは、こんなオッサンになってまで、音楽と関わっているなんて事はなかったはず。だから、この2枚は自分にとっては特別な存在なのだ。



昨晩の酒も抜けきらないうちから、燗酒でおせちを頂く。普段からそれ程TVも観ないし、正月なんてのはその大半がバラエティ番組だろうから、さっさと部屋に引き上げて、ネットでゴニョゴニョしてるうちにまた眠くなってくる。そんなわけで、夕頃になって、ようやく調子が乗ってきた。まずは酒のあてなんぞを用意してから、えーと、今年チョイスした酒はタリスカー(TALISKER)。準備万端整えて、『The Beatles 1962~1966』(通称:赤盤)を取り出す。今回聴くのは090909リマスター音源を使った2010年盤だが、個人手的に赤盤と青盤は、それぞれ、アナログ盤やらブート盤やら含め4セットずつ所有している。ブート盤はアナログで発売されていた収録音源と初CD化された際に収録された音源に一部違いがあって(たったそれだけの理由で)入手したものだ。要するに、アナログ盤はそれだけ聴き込んでいたので、初代CD盤には違和感があったのだ。090909リマスターもアナログ盤と違うので、未だに違和感があるのだが、音質の良さでこちらをチョイス。実は、これあまり聴いてない。まあ、ビートルズのアルバムってのは1年に1回くらいの割合でマイブームがやって来るので、その時に集中して聴くのだが、未だに新たな発見があるのは驚異的だ。
1曲目の「LOVE ME DO」。中学生の頃は、この何ともピリッとしない、すっとぼけた曲調が嫌いでw まあ、友達なんかも同じ様な意見で、どうしても好きになれなかった。その頃の洋楽業界ってのは、そのバンドについてのルーツ・ミュージックなんかを掘り下げて研究、紹介しようなんて、気骨のあるヤツは殆どいなくて、だから、黒いビートルズ、なんて言葉にピンと来るようになるまでには、相当な時間を要した。しかし、それが解る様になると、俄然、この曲は面白くなってくる。ちなみにこの曲は、リンゴがドラムを叩いているバージョンと、スタジオ・ミュージシャンのアンディ・ホワイトが叩いているバージョン(リンゴはタンバリン担当w)が存在するが、赤盤には後者の音源が使用されている。また、リンゴ・バージョンのオリジナル・マスターテープは破棄されているので、CD化の際に盤起こし(レコード盤から音源を収録)されている。
さて、この赤盤のDisc-1には痛快なテンポの大ヒット曲が目白押しで、バラード調の曲は「AND I LOVE HER」と最後の「YESTERDAY」の2曲だ。多感な思春期の頃には、この「YESTERDAY」を聴いて心を震わせたりもしたが、ビートルズを研究すればする程、後にポールが大量に輩出する、甘ったるいポップスの原型みたいなこの曲が鼻に付く様になる。それと、ビートルズ=YESTERDAY=ポール、みたいな図式が、もううんざりで、特にジョンが殺された時に、ニュースのバックにこの曲が流れたりするだけで酷い嫌悪感に襲われたりしたものだ。まあ、今ではそいうった感情はだいぶ薄らいだが、涙を流して聴いていた、あの頃の感情には、残念だけどもう戻れない。
Disc-2に行こう。ここでのビートルズは「DRIVE MY CAR」を筆頭にかなり黒い。が、サウンドは変化の兆しを見せ始める。特に「NORWEGIAN WOOD」でのシタールの導入は画期的で、今では普通に聴かれるこの独特の音色も、当時としては先進的且つ斬新だったはずだ。恐らく、このシタールがなければ、この曲が名曲なることもなかったかもしれない。
ところで、ビートルズの曲で一番好きな曲は?と訊かれたら何と答えるだろう? 自分なら、う〜ん、とひとしきり唸ってから、まあ、例えば「IN MY LIFE」と答える時もある。この答えは、毎回変わるんだが、それでも、この曲は毎回候補に挙がる。それ程自分にとっては大切な曲だ。ただ単に、♪君が好きだよ〜ららら〜、みたいな曲とは、完全に一線を画すこの曲は、ビートルズがポップス界の高みへ上り詰めようとする、偉大なる弟一歩だ。
そして私は、この頃のブライアン・ウィルソンの事を想像してみる。彼はこの『ラバーソウル』を追い越そうと躍起になって、偉大なる『ペットサウンズ』の制作に取り掛かる。どうだとばかりにリリースされたそのアルバムは、ビーチ・ボーイズファンからだけではなく、メンバーからもそっぽを向かれ。レコード会社からは苦言を呈された。そして、直後にリリースされた『リボルバー』。彼はまだ諦めず、『スマイル』の制作に取り掛かるもリリースには至らず、『Sgtペパーズ』の登場によって完全に打ちのめされてしまうわけだ。そんな激動の音楽が詰まった『The Beatles 1967~1970』へ行ってみよう!と思ったらタリスカーが切れてしまった!
この項、つづく。