Pearlのカホン、Primero Tree of Life Cajon (PBC-123BTR) を手に入れた!

なんでも、今年初の記事らしい(笑)
年末にコロナに罹患してしまい、年明け8日まで自主隔離生活を送っていたが、当然ながら音楽活動の類は一切できず、楽しみにしていた元日の新年会&ライブも棒に振った。それでも、翌週にはバンド仲間からお誘いがあって、自宅から二駅ほどの場所にある焼き鳥屋でライブという貴重な経験も出来た。その時は、ボンゴとシンバル類を持参したのだが、なんか、こういう時カホンがあればいいなあとちょっと思った。カホンというと、ちょっとしたライブバーや小さなライブハウスでも常備してある場合が多いので、自ら購入しようという気が起きなかったのだが、更に翌々週にちょっとした野外イベントがあって、むむむ、これはカホンの出番か?という購買意欲が沸々と湧いてきた。こうなるとすぐにサウンドハウスへ直行するのが常。早速漁ってみると、なんと、パールのカホンが7,980円で売っているではないか!もちろんアウトレットではなく通常の製品だ。ちょっと調べてみると、サウンドハウスでは2022年の2月辺りからこの価格で販売しているらしいが、なぜこの価格が実現できているのかは謎だ。一応アマゾンやら他の楽器店を調べてみて、一般的には1.5~2万程度が相場だと判断。すかさずポチっとな(笑)
さて、配達の当日。なにやらやたらとデカい箱がふたつ!ひとつはカホン本体というのは判る。ところが、もうひとつは厚みはないがやはりデカい箱に入っている!なんだ?と思い開けてみると、なんと!カホンケースが入っているではないか! あれ、なんだこれ?と思い納品書を見ると、カホンケース0円となっている! えーっ!半ば混乱した頭でWebの購入履歴を見ると、やはり0円で購入とされている。すぐに商品のページに飛ぶと、何とそこには「ケース付きキャンペーン実施中」の文字が。これは見落としていた! しかし、何とも嬉しいサプライズ。で、ただで貰っておいてなんだが、このケースはもちろん一番安い製品で、ちょっとばかり問題がある。それはケースの内側に緩衝材の類が一切使われておらず、移動中にぶつけたりすると損傷する恐れがあるのと、もうひとつ、このケースは持ち手が付いているだけで、ショルダーベルトすらついていないのだ。もちろん、最低価格なので仕方ないが、これを使っての移動はやはり危険と判断して、新たなケースを探すことになるのだが、それはまた次回にでも。


とにもかくにも、カホンを手に入れたのだが、正直、カホンについての技術は全くの我流である。何となく誰もが叩ける楽器というのがこのカホンの魅力なんだろうから、ここは我流で押し通すことに💧
というわけで、動画にしてみました。まあ、以前からこのブログを読んでくださっている方たちは十分ご承知でしょうが、何か技術的なことを期待されても何の役にも立たない動画です。なんだこの下手くそは!と憤慨して低評価を付ける方もちらほらいらっしゃいますが、そんなもんは自分自身が重々承知してますのであしからず。

youtu.be音質はこの動画では判り難いが、低音は思いの外良く出るが、スナッピーはやや弱めの印象で、ポップスよりはロック向けのテイストとなっている。
最後に、概要だけ書いておきます。まず、大きさは一般的なカホンと同等の高さ約49センチ、幅奥行き約30センチで、スナッピーは2本。材質は打面がメランチ、他がMDFとなっています。因みに、このカホンは現在日本向けには販売していないようで、メーカーの日本向けサイトでは表示されませんが、海外向け表示(USA等)では閲覧可能となっています。

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LP® RIDGE RIDER COWBELL (LP008-N) を手に入れた!

コロナ禍以降、様々なパーカッション類を集めてきたが、最初に買ったのがカウベルアゴゴベルだった。両方ともプレイテック製で、カウベルはSMLの3種類買っても1,320円とすごぶる安かったんだが、当然ながら音も良くない(同時に買ったアゴゴベルは全く使い物にならなかった)。だが、一応カウベルですよ、くらいの音は出るので、なんとなく使ってはいたのだが、バンド仲間が使っていたLPのTommy Leeモデルの音を聴いた時、圧倒的なまでの次元の違いを痛感し、本格的なカウベルを買う決意をしたという次第。

左、Tommy Leeモデル。右、RIDGE RIDER COWBELL。

このTommy Leeモデルはカウベルの中でも、かなり低音の部類に入るので、骨太なハードロック系によく合う。まあ、これを買ってもよかったんだが、どうせなら別の物をと思い、YouTubeなんかを参考にして様々なタイプのカウベルを試聴してみた。基本的にはブラックコーティングされていないタイプのものは、ロック系というよりは本格的なラテン系で、甲高い音が特徴的だ。先に手に入れたミニティンプスに合わせるにはこちらの方が良いが、ただ、オールマイティというわかには行かない。そこで、やはりブラックのロック寄りへ目標を定め、最終的にはLPのRIDGE RIDER COWBELLに決定! 見た目は開口部が大きく高さがあり、二枚の鉄板を組み合わせて作った典型的なカウベルの形だ。ひと際目を引くのが、開口部上部にある赤いプラ製のプロテクターだ。この部分を叩くことによって、金属的な甲高さが低減され、より骨太な音が出る。音域としては低音方向だが、Tommyモデルよりは高い音。倍音成分が多く存在感もたっぷりで、実際に叩いてみると、かなり大きな音が出る。曲によってはミュートしたり力を加減して叩かないと、曲の雰囲気を大きく損なう可能性すらある。しかし、さすがは老舗の名門メーカー、そこらのカウベルとは一線を画す音だ。ちなみに、Tommyモデルは取り付け部分が普通のウィングナットとチューニングキーの二点で締め付ける仕組みだが、こちらはごく普通のウィングナット。まあ、怪力で叩かない限りはこれで十分だ。
最後になったが、購入価格はお馴染みサウンドハウスで7,680円だった。

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TAMAのBlack Steel Mini - Tymps(4"x8"+4"x10")を手に入れた!

TAMAから以前販売されていたミニ・ティンバレス・セット。2年半くらい前から、いつかこいつを買ってやるぜと思っていたのだが、いつの間にか販売終了に!そして最近になってようやく発売されたのが、このBlack Steel Mini - Tymps。黒くなって(しかも少し高くなって)ちょっとばかり精悍になった。このBlack Steel Mini - Tympsは、6+8、8+10、10+12(インチ)と、サイズの違いで3種類のバリエーションが存在するのだが、今回購入したのは8+10の組み合わせだ。動画などで音色を確認したが、6+8だとかなり甲高い気がしたので、8+10に決定した。10+12でも良かったが、持ち運びという観点からすると、大きすぎるので見送った。定価は税込で22,000円だが、お馴染みSound Houseから16,800円で入手した。
到着したブツを見ると、本体はリムも含めて艶消しのブラック塗装だが、いかにも傷付きそうな仕上げで、実際に現場で使用した際、早くもやっちまった! まずは演奏中にリム同士がこすれて塗装が剥げ、更には取り付け用の金属製ロッドのギザギザでシェルの底が削れてしまった!! まあ、ドラムやパーカッションの類は、持ち運びや演奏に際して、どうしたってこういった傷は避けられないものだが、この製品は思っているよりもずっと軟弱な塗装だと思った方がいい(ただし、見た目はカッコイイ)。やっぱりね、クロムメッキは最高だな~と再認識した次第。

また、このセットにはクランプ(MC66)とLロッド(LLT)が付属しており、タムホルダーやシンバルスタンド等に容易にセットすることが可能だが、想像していた以上に本体、及びこのクランプが重いのでバランスに注意しないと転倒の危険がある。また、一般的なドラムセットは問題ないとして、パールのコンパクト・トラベラーへの装着は危険過ぎてお勧めしない。最低でもダブルレッグのスタンドかタムスタンドに装着するのがベストだろう。今回はボンゴスタンドの上部を引っこ抜いて、付属のMC66とLLTを使ってセットした。また、三脚の内の一本(これが奏者の真正面に来る)と同じ方向に本体を固定しないと転倒するのだが、こうなると本体がドラムセットよりもなかり遠くなってしまうため、LLTを最大限に手前に伸ばしてセットした。

パールのコンパクト・トラベラーとの組み合わせ。付属のスネアのスナッピーを切ってフロアタム代わりに。手前に出ているロッドのギザで傷つけてしまった!

では肝心の音。まず、最初から製品に付属しているクリアヘッドだが、まあ、これでもいいんだが、やはり初期装備品はどうしたってグレードが低いのと、あと、実はTAMAのロゴが入ったタムやスネアのヘッドは単体で購入できないので貴重だっていう、人によっては全く大した事のない理由で交換した(笑)。今回は、生まれて初めてのEVANSを購入してみた。もちろん、ティンバレス専用のヘッドってのも、例えばマイネルやLPとかから販売されてはいるんだが、基本的にはタムのヘッドでも全く構わない。というか、そういったパーカッション専門のメーカーであっても、自社でヘッドを製造しているとは思えない。恐らくREMOだとかEVANS等に製造を委託して、ロゴを印刷しただけだと思うんだ(TAMAではEVANS製でTAMAロゴのヘッドを使っているものもある)。それよりも、問題なのはヘッドの種類で、基本的にはクリアヘッドがデフォで、後は、厚みだったり、音色だったりするわけだが、仮にもティンバレスと名の付くものだから、抜けの良さが身上。となると、極端に厚みがあったり、二重構造だったりするものは、クリアヘッドであっても音が詰まったり、ミュート気味になったりしてしまうので避けたい。最終的には、メーカーによる製品の比較表や比較動画などを参考にして、EVANS の「G1 Clear」に決定!厚さ10milで 1ply(一層)構造だ。実際に叩いてみた様子は下の動画を参考にしてもらいたいが、思っていたよりもずっと耐久性が高く、思いきり叩いても打痕があまり付かない。ただし、張ったばかりのヘッドはすぐに緩みが出るので、増し締めっていうのを何回か繰り返す必要がある。

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マイネルのターボクラッシャー(MEINL TURBO CRASHER LARGE )を手に入れた!

コロナ禍以降、バンドやプロジェクトが立ち消えたり、或いは新たに発足したりと、中々落ち着かない日々ですが、そんな中でパーカッションの類を充実させようといった目論見があって、まあ、それは自分自身の自由度を上げようという考えでもあるんだが、とりあえずは小物類から始めようと思い立ち、このブログでも度々紹介してきたわけです。一応は2万を超えない範囲で、という縛りは設けたんだが、それにしたって塵も積もればなんとかでさ(笑)、結構な出費だったりもします。それが、音そのものに関するもの…例えば楽器本体なんかであれば納得いくんだが、それを固定するためのアタッチメントの価格が、本体を上回ってしまったりすると、なんだかなあと思ってしまう、まあドラマーあるあるなんですがね😅
さて本題。今回はマイネル(MEINL)のターボクラッシャー(TURBO CRASHER)のレビュー。この製品はSとLのサイズがあるのだが、今回購入したのはL(ラージ)で、中々安い店を見つけられずにいたのだが(サウンドハウスで3千円ちょいで売ったいたのだが、現在Lは取り扱っていない)、なんとか送料込みで4,451円の店を見つけ出してゲット! まあ、サウンドハウスの足元にも及ばないが、恐らく最安値だったと思う。

ところで、このクラッシャーという楽器、一体何に使うのかと訊かれると中々返答に窮するところなんだが、簡単にいえば、アクセントを付けたり、逆にすかしたり、シンバルで言えばスタックとか、そういった類の物で、構造としては、金属の板を数枚重ねて緩くネジ止めしたもの。正直言って、これといった定義は存在しないので、手作りでもイケるし、YouTubeなんかでも作り方を紹介している動画もある。一番簡単なのは、割れたりして使い物にならなくなったシンバルから板を切り出して、それを数枚重ねるといったもの。もちろん、形成や火入れなどの作業工程もあるが、基本的には自由なので、素材も様々な金属板で試すことも面白そうだ。
ともかく、この様に基本的には自由な楽器で、例えば、パールのクラッシャーは金属板にジングルが2個取り付けてあったりするが、このマイネルのクラッシャーに関して言えば、上部に2枚の波形の金属板を使用しており、それによってウォッシュボード的な効果(スティックを横に滑らす)を出すことも出来る。
音量的には、最初、室内で試奏してみたらあまりのデカさに驚いたが、実際にスタジオでドラムセットに組み込んでみたら、そうでもなかった(笑)という。まあ、どうしてもスネアのオープンリムやハットの音には負けるといった感じだが、ジャンルによっては…例えばアコースティックセットなどでは逆に大きすぎたりする可能性もある。実際の音量については下の動画を参考にしてもらいたい。

パーカッションに組み込んでみたが、振動で上のジャムタンバリンと音が干渉してしまったので、このセッティングは失敗だった。

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「東京燈夜」の夜。

9月18日、「東京燈夜」と銘打たれたフェイ・ターンさんとKOWさんのライブが碑文谷APIA40に於いて行なわれた。会場に入ると、フェイさんの手によるひょうたんアートがステージの各所に配置され、内蔵されたLEDが怪しげに光り、場内を異空間のごとく照らしている。

フェイさんによるあいさつ代わりの演奏が始まると、空気が何やら柔らかくなっていくのを感じる。実は、テルミンという楽器、不確定要素が強く、不安な気持ちにもなる楽器なんだが、彼女の演奏は極めて正確で、まるでエレクトリックな二胡の様な音にさえ聴こえてくる。
さて、第一部はKOWさんによる演奏。今回は新曲から旧曲まで幅広い選曲だったが、新参者の私にとってはどれもこれもが新鮮に感じる。特に「透明なドラゴン」のアコースティック・バージョンは強く心に刺さった。というのも、この曲はKIATバージョンを最初に聴いていたので、自分にとってはそちらがオリジナルといった感が強い。KIATはメンバー4人が全員手練れで、それぞれが表現力豊かなミュージシャンであるため、実は自分の中ではこの透明であるはずのドラゴンが3Dモデルとして存在していたのだ。それはまるで、ファンタジーRPGに登場するドラゴンの様でもあり、ELPマンティコアやタルカスの様な得体の知れない存在の様に頭の中で具現化していた。しかし、(ライブ終了後に知ったのだが)この曲のオリジナルは約20年前に発表されたアルバム『透明なドラゴン』こそがオリジナルで、そもそもが極めてアコースティック色の強い演奏だったのだ。この透明なドラゴンは、未来を指し示す水先案内人なのか、それとも自分自身の内で暴れる退治すべき存在なのか、それとも対峙し続けるべき存在なのか、或いは自分自身の分身な様な存在なのか、歌詞の内容や意味は、演奏楽器や演奏形態、或いは演奏場所によって変容を遂げる。そんな事を考えながら聴き入っていた(と、ライブ終了後、KOWさんに話した)。
この後、おまたんこと小俣慎一さんとのユニット、ファーカンダの演奏が始まる。私事だが、十日ほど前に母を亡くした自分にとって「ロータス」は心に染み入る曲で、何よりもの供養となった。

さて、いよいよフェイさんの演奏。そもそもテルミンの生演奏を聴いたことが無かったので、自分にとっては未知の領域と言ってもいいだろう。と思っていたら、テルミンはスルーしてピアノの前に。そして「地層」が始まる。地球という生命の営み。途切れそうになっても何とか生き残って、また途切れそうになっては生き残り、この繰り返し。
そして、この繰り返しこそが地球という生命そのものでもあり、今生きる私達そのものである。地層が物語るこの地球という生命が、実は自分自身であることを強く認識させられる、そんな力強くて壮大な作品だ。彼女曰く、この曲が出来たとたん、やり切った感が強くて、曲が作れなくなってしまったそうで、まあ、それくらい全てを出し切った大作なのだろう。
そして、今度こそテルミンの出番。どうやら、今回展示されているひょうたんからインスパイアされた曲のようで、なるほど、潜水艦にも見える大きくなり損ねたひょうたんだ。途中、鵜飼恭子さんをゲストに迎えるが、彼女の世界観に没頭するあまり、テルミンを弾かなかったのは大英断。まあ、あっても良かったんだろうが、鵜飼ワールドを知ってもらいたくて、自分も一緒に聴いていたのだとか(笑)。実際、彼女の世界も独特で、しかも、フェイさんが宇宙ふたごと言っていたように、ふたりはどことなく近い世界で繋がっている。だからこその相性抜群の演奏なのだろう。
さて、テルミンの曲をじっくり堪能したところで、四人によるアンコール。この四人が集まると「チーム電波」となるらしい。最後はKOWさんの代表作のひとつである「蔦」。KIATのアルバムにも入っているし、先月のファーカンダでも演奏された。どこにも分類されることのない音楽としてのプログレ。自分ではそう勝手に思い込んでいるのだが、曲の長さを全く感じさせない超大作である。


左から、鵜飼恭子、フェイ・ターン、KOW、小俣慎一

あっというまに時間は過ぎたが、2時間30分以上はあったんじゃないかな? とにか、この長丁場を全く飽きさせることなく聴かせるのは、ただ曲がよいというだけじゃなくて、演奏力や、ユニットによる変化など、様々な要因があるが、そのうちのひとつが"ひょうたん"であったことは間違いない。素敵なライブだった。

アルバム、左:フェイ・ターン『地層』と、右:KOW『透明なドラゴン』

ファーカンダの夜。 ~ファーカンダ『夜のファーカンダ』レコ発ライブに行く~

8月20日、KOW(曽我部晃)と小俣慎一のユニット、ファーカンダのレコ発ライブへ出かけた。
ファーカンダは、メンバーである、おまたんこと、小俣慎一(アコーディオン)と、今回サポートを務めたバックのうち2人が、私と同じバンドのメンバーで(現在はオリジナル楽曲の製作に勤しんでいる…と言っておこう)、まあ、そういったバンドマン繋がりで知ることとなったのだが、KOWさん(アコースティックギター)は、メンバーとのつながりが強く、度々話題に上る人だったので、どうしても会ってみたかった。
場所は四谷のDoppoというライブハウスで、JR四谷駅から程ない場所にあるなかなか素敵なハコ。コロナが再び猛威を振るう中、客席がほぼ埋まるほどの盛況ぶりだ。今回はファーカンダの1stアルバムとなる『夜のファーカンダ』のレコ発ライブということで、アルバム全曲を演奏するとのこと。これ、言うのは簡単だが、アルバム1枚をほぼ完全に再現するというのは、なかなか難しい事なのだ。

ところで、この『夜のファーカンダ』とは一体どういう意味なんだろう?と、おまたんに訊いてみると、ファーカンダは沖縄の言葉で、孫と祖父母との関係の様に、世代を繋ぐという様な意味があるのだとか。更に、この「夜の」の意味は、そもそもファーカンダは育児をする母親とその赤ちゃんの為の音楽、というのがコンセプトのユニットだったらしいのだが、次第に彼等の如何わしい部分が大きくなり始め、本質を覆い尽くしてしまい「夜のファーカンダ」になった、という事らしいが、逆説的に考えれば、その如何わしさこそが彼等の本質であったという事か。

演奏が始まる。アコーディオンが異国情緒を醸し出すが、その異国がどこなのかがよく判らない無国籍性。しかも何か悪意の様なものも見え隠れするが、これが"夜の"という事か。サンバやボサノヴァの要素が見え隠れする曲もあるが、それは、例えば、ピエール・バルーフランシス・レイのサンバとシャンソンの実験的な融合を想起させたりもする。曲調は多岐にわたるが、子供の頃、どこかで聞いた事があるような不思議な旋律は、懐かしくもあり恐怖ですらある。

ファーカンダ。左から、小俣慎一、KOW。右はサポートのドラム、高橋克典

右、サポートのVo、新井圭子。

左、サポートのベース、天崎直人。

それにしても、サポートミュージシャン達の卓越した演奏能力には脱帽。同じバンドマンとして、忸怩たる思いが沸々と湧き上がるのを感じつつも、思いあがるなと自戒の念を強める。幾つになっても、練習と勉強しか道はないのだ。
話が逸れた。とにかく、今回のライブは大満足で、音楽的に何かを掴む切っ掛けとなったのかもしれない。演奏後、KOWさんや他のメンバーと話が出来たのも嬉しかった(無理矢理乾杯の場にまで参加してしまった)。
最後になったが、フロントアクトを務めた中込祐さん(+パンデイロの柳元武さん)達の演奏も、もの凄く良かった。ファーカンダに繋がるものを感じ取ってくれたら嬉しいみたいなことを言っていたが、なるほど、きっと、何かが、どこかの、とある次元で交錯しているのだろうと感じる歌と演奏。思いがけずアルバムをプレゼントされたが、これがまた大傑作! 独特な詩の世界に、洗練された音のチョイスには目を見張るものがある。機会があれば是非もう一度見てみたいものだ。

左、ファーカンダ『夜のファーカンダ』。右、中込祐『ノオト』