ラブリー!

桜沢エリカの「ラブリー!」第4巻。第3巻から未完のまま7年以上が経過しており、てっきり終わったものと考えていたので、書店で偶然見つけた時は、正直驚いた。連載開始から10年が経過し、当初の掲載雑誌「Comic CUTiE」は廃刊。新しい雑誌へ移り連載再開。その後もいくつかの雑誌をまたいで、単発的に連載が続けられていた様である。
本作は主人公の女子高生“みいな”の成長を恋愛やファッションを軸にして描いたものだが、作品の本質は、いかにして自分の個性を見出し、それをどの様にプロデュースし演出していくかということで、これは桜沢エリカティーンエイジャーの女子に向けてよく投げかけるテーマである(連載開始当時はルーズソックスの全盛期だが、みいなはひとり黒ニーハイで登場する)。しかしこの第4巻の収録作品はは、どうやら完結させるために連載を再開したと思わせる様な節がある。みいながいきなり女子大生になってしまっていて、オジサンちょっと悲しかった。それと、3年の間に、作者自身のタッチが大きく変わってしまったのが非常に残念だった。なんか、登場人物の顔がみんな丸くなってしまって、おまけに性格まで丸くなっちゃって…。これがもしちゃんとした環境の中で連載が続けられていたら、恐らく、時代に対してもう少し厳しいテーマを発信していたに違いない。そう思うといささか残念ではある。


※第1巻は宝島社より発行。後に祥伝社より新装版として現在の形で発行されたが、その際に第1巻が新構成となった。

ラブリー 4 (Feelコミックス)

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