真夏の夜のウイスキー

今年もまた猛暑となりましたが、例によりましてシングルモルトをチビチビ嘗めてなんかいられねーっ!ってわけで、最近ではハイボールなんぞを頂いているのですが、このブログでも何回か書いている様に、昨今の、何から何までハイボールといった風潮には異を唱えるわけで、これはあくまでもカクテル、なるべく千円以内でおいしく頂けるものを目指そうといった考え方の下で、日々、様々なタイプのウイスキーで実験を重ねているわけです(実験ってなんだw)。とその前に…実は、千円以内で一番おいしいハイボール向けのウイスキーなるものは、もう決まっていて、それはズバリ、キリンの「富士山麓」である。容量が600mlと多少少なめだが、アルコール度数は50度とそれを補って余りある高さで、何よりも樽香が効いているのがよい。これは賛否両論あるだろうが、多少強めの渋みや苦味に、樽の若さから来る勢いを感じるのだ。これはラフロイグのクォーターカスクと同じような傾向で、こういった若さが許せない人にとっては低評価となるかもしれない。しかし一番の強みは、何と言っても、度数が高くボディーがしっかりしているので炭酸に負けることがないという部分。この酒の持つ本来の旨みを炭酸で飛ばすことなく楽しむ事が出来るのだ!

キリン富士山麓。一般的な販売価格は千円程度。まずは普通に飲んで欲しい。

さて本題はここから。まあ、所詮ハイボールの材料なのだから、最底価格のそれから攻めてみたい。まずはイオン系の販売店で最近見かけるトップバリュの激安ウイスキー、その名も「ウイスキー」w えーと、非常に書きにくいのですが、これはウイスキーと呼べる代物ではありません。ウイスキーという名の何か別の蒸留酒といった印象。ラベルに書かれた原産地はフランス。恐らく、樽で熟成させる期間を短縮し、大量のカラメルで色付けをして瓶詰め、出荷といったところでしょう。炭酸でガンガンに割っても無理なら、量販店の29円コーラで割って飲んじゃいましょう。

定価598円の激安ウイスキー、アルコール度数は37度。お勧めはできない。

さて、サントリーをはじめとして、多くのメーカーが外国ウイスキーの正規代理店となっており、メーカーが販売に力を入れるものは国内でも有名な銘柄となりうるのですが、そうでないものは、大手量販店ですら取り扱われない存在となっており、たまに見かけるとついつい買ってしまうのですが、そんな1本がこれ。サントリーが代理店を勤めるスコッチ「ロングジョン」。しかし、最近ではハイボールブームに乗っかれとばかりに、販売攻勢をかけており、以前よりはよく見かけるようになった。久しぶりに飲んでみると、ストレートでもロックでも意外とおいしく、これはちょっと得した気分。ハイボールにしてみても十分耐えうるボディーを持っているが、濃い目に作ったほうがおいしい。キーモルトが気になったので調べてみると、トーモア(TOMORE)でスペイサイドだ。ふわっとした甘さと麦の味わいがよく出ているが、スモーキーさがかなり強いのは、他のモルト由来か。これはかなりのお勧め。

やはり千円程度だが、価格以上の価値はある。お勧めの1本。

この項、続く。