丸尾末広 『瓶詰めの地獄』

丸尾末広、久々の新作単行本である。表題作は、原作が夢野久作で、船の難破により離れ小島に漂着した兄妹の物語である。ビール瓶に封印された、兄がしたためた三通の手紙。孤島のパラダイスは、兄妹の心身の発達と供に、やがて地獄へと変貌して行く。
他の作品は、あたかも80年代に戻ったかのような作風で、表層はエログロであり、本質はこの世の不条理である。だから、ストーリーの結末は悲惨そのもので、カタルシスの様なものは何もない。80年代当時、丸尾の作品と同じくらい酷かったのが花輪和一の作品で、作者自身が、正当な結末を放棄する様な作品が幾つもあった。その花輪と丸尾のコラボレーション作品がかつて存在した。『無惨絵』である。長らく絶版のままで、幻の作品と言われた本作が、四半世紀の時を経て、ついに完全復刻される! 何は無くとも、とりあえずは予約だ!


無惨絵 新英名二十八衆句 (ビームコミックス)

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瓶詰の地獄 (ビームコミックス)

瓶詰の地獄 (ビームコミックス)