ベビメタちゃん祭りだ、ワショ〜イ! BABYMETAL『METAL RESISTANCE』で震えろ! −その2−

BABYMETALの2ndアルバム『METAL RESISTANCE』のレビュー、後編。

07曲目「シンコペーション」は戦闘アニメの主題歌のような曲調だ。そもそもアニメとメタルの親和性は非常に高く、アニメタルなんてジャンルも存在するくらいで、外国のメイトの中にも、このアニメタルが日本の音楽への入り口となった者も多い。だとしたら、あまりにも直球すぎるんじゃないか? と感じたからかどうかは判らないが、実はこの曲、日本盤にのみ収録されていて、海外盤には「From Dusk Till Dawn」という曲が収録されている。日本盤を手に入れた海外のメイトからは当然ながら賛否が別れて、この曲を海外盤に収録しない事へ強い憤りを感じる人も多かったようだ。反面、「From〜」を大絶賛する人も多く、結局、どちらを収録しても反発は出ただろう。まあ、国別に収録曲を変えるなんてのは、それこそ40年以上も前から行われてきたビジネス手法だから、今更否定はしないが、まあ、両曲とも収録してもよかったんじゃないかと思う。

08曲目「GJ!」はBLACK BABYMETAL(MoiMoi=MOAMETAL,YUIMETAL)のための曲。3・3・7拍子の如何にもといったイントロから、前半はBBMお得意のラップで攻め立てるが、後半は一転して、Kawaiiアニメの主題歌調になる。ふたりの声が混ざり合うと、まるで化学反応を起こしたかのような不思議な声質になる。電気的でエフェクトの乗りが異常にいい。ふたりの息は、言うまでもなくぴったりだ。ある意味、1stに於けるベビメタのイメージを引き継いだような曲だろう。

09曲目「Sis.Anger」。タイトルはメタリカだが曲はブラックメタル。ちいさな女の子達になんて酷い歌詞を歌わせるつもりだw 海外のメイトにも、やがて翻訳が行き亘るだろうが、はたしてどんな反応を見せるんだろう? ところで、このアルバムは、全体的に硬質で冷たく、ノイジーな印象を受けるが、それは、デスメタル、インダストリアル、ノイズといった、ジャーマン系の音色を強く感じさせる。そういった音色に、非常に子供っぽさの残ったBBMの歌声が乗る事自体が奇跡みたいな事だと思うのだ。

10曲目「NO RAIN,NO RAINBOW」はSU-METALのソロ曲で、ライブでは以前から披露されておりライブビデオにも収録されているが、正式にCD化されるのは初めてだ。別にメタルの曲というわけではないが、この曲がX-JAPANの「Endless Rain」のオマージュである事から、メタルという枠の括りで成立する。SU-METALの歌唱は圧巻だが、ちょいと優等生すぎる気もするなあ。

11曲目「Tales of The Destinies」。ドリームシアターEL&P、イエス等のプログレエッセンスを凝縮して、メタルと融合させたような曲。イントロから強烈なフックの連続で、変拍子とキメの嵐が襲いかかる。自分の追いかけるべき拍を見出す事が出来ずにいるまま、音の洪水の中に放り込まれるが「The One」のメロディを頼りにようやく本編へ突入する。途中、何度か通信不能になりかけると、それをふたりの女の子が茶化すが、それでも何とか縋り付いて合流する。ラグタイム系のピアノやうねるシンセは、奇しくも先日他界したキース・エマーソンを想起させる。気付くと静寂の中に佇む自分を発見する。それはまるで、HALのたくらみによって宇宙に放り出されたボーマン船長のような気分だ。やがて耳に憶えのあるメロディをピアノが奏ではじめた時に気付く。我々は今、約束の地「The One」に導かれて行くのだと。

12曲目「The One」。メタルで世界をひとつにする、などどふざけた目標を掲げて子供騙しもいいところだ、なんて思っていたら、3人の女の子達と私達は、もう引き返せないところまで来てしまった事に気付いてしまう。大仰でクソみたいに長いリフレインは極めて宗教的で神秘的。そうやって、騙されてやると何度も心の中で叫ぶが、女の子達は、天使になったり不思議の国のクィーンになったりして、現実との境界線は段々と曖昧になってくる。そうして、ようやく理解する。あの巨大なサークルピットは広大な宇宙そのものだったのだと。やがて3人の歌声が頭の回りをグルグルと回りはじめると、自分の存在すら確信が持てなくなって来る。ああ、今、やっとひとつになれたのだ。

この項、つづく。