ベビメタちゃん祭りだ、ワショ〜イ! BABYMETAL『METAL RESISTANCE』で震えろ! −その1−

BABYMETAL待望の2ndアルバム『METAL RESISTANCE』がついに発売になった。1stから2年ちょい、これが普通のアイドルなら、ずいぶんと長いインターバルだし、一流の大物アーティストであっても、この月日はちと長過ぎるだろう。ただ、彼女達はその間、ワールド・ツアーが組まれていたので、話題性を欠く事はなかった。むしろ、この2ndに対する期待が全世界的に高まっていた事を考えると、決して手を抜いた作りは許されなかっただろうし、それはプロデューサーのKOBAMETALにとっては、かなりの重圧だったに違いない。だから、実はベビメタファンにしてみれば、下手なアルバムを出すくらいなら、時間がかかっても、じっくりと作りこんでくれた方が良かったのだ。だからこそ、この2年をじっと我慢して待つ事が出来たのだろう。
さて、日本国内では、世界に先駆けてのフライング発売となり、一足早いベビメタちゃん祭りと相成った。ただ、海外のメイトからはかなりの不満が爆発したようだ。特にウェンブリー参戦組にしてみれば、新曲を予習するための時間が1日しかないのだから、そりゃ、やっかみたくもなる。しかし、冷静に考えてみれば、日本人アーティストのCDがほんの数日早く発売されただけで、外国のファンが怒り出すって、なんかとんでもなく凄い状況なんだと思う。


初回限定盤には"東京メトロック2015"のステージを収録したDVD(全7曲)が付く。

前置きが長くなったが、さらにちょっと前置きw 今回の記事はレビューなので大いなるネタバレが含まれているため、まだ聴いていないという人は、多分、ここから先は読まない方が懸命だ。と、ここまで書いて、まだ読んでいる人がいるのなら、もう一言付け加えよう。このアルバムは、恐らくこれから先、死ぬほど聴く事になるだろう。それくらいの大傑作だ。だから、どうか、一番最初に聴いた時に生まれたその感情を、絶対に忘れないで欲しい。それは、二回目にはもう別のものになってしまうのだから。
…では本題。早速レビューを開始しよう!
1曲目「Road of Resistance」。2014年ワールドツアー最終のロンドンO2アカデミーで衝撃のお披露目となった曲。音楽シーンに於けるメタルに対する様々バッシングはもとより、メタルファンの内部、いわゆるメタルエリートと呼ばれる者達からベビメタに対しての過剰なまでのヘイト発言、それらに対して毅然とした態度で立ち向かうという、いわばベビメタの決意表明のような曲だ。
2曲目の「KARATE」は、メッセージ的に「Road〜」と似ていると感じるが実は向かう先が違う。MV(最近ではPVとは言わないらしい)で表現されているように、真の敵は己自身であり、そういった自己の弱さに打ち勝つのだという決意表明だ。タイトルといい、MVの演出といい、外国人が持つステレオ的な日本を過剰に意識させているが、自身に打ち勝つといった武士道精神の様なものを、判りやすく視覚化しているのはいい試みだと思った。



3曲目の「あわだまフィーバー」は何度かライブで披露されているが、その度に修正され、進化して行った曲だ。ライブでの反応を見ながら曲を修正して行くという手法は70年代のハードロックやプログレでは頻繁に行われていた。ドラムンベースをコアに、メタルサウンドを被せたら、チューインガムが膨らんだ。
4曲目「YAVA!」。スカをベースにした曲調で、本作でタイトルが発表されるまで、メイトの間では「違う」と呼ばれていた。これも「あわだま〜」と同じく、事前にライブ披露された曲だ。しかし、当初は少しばかり退屈で、悪くは無いが、絶賛する程いいとも思えなかった。ただ、ベビメタを初めて聴いた時もそうなんだが、この最初に良い印象を受けなかった、ってのが、極めて危険なんだな。ちょっと気になるからもう一度だけ聴いてみよう…そうやって、多くの人が罠に嵌るw 
5曲目「Amore -蒼星-」。SU-METALのソロ曲で、これは1stに収録されている「紅月 -アカツキ-」と対になる曲だ。曲調はメロスピ、しかも超高速で、Gが超絶技巧を駆使して弾きまくる。SU-METALのボーカルは歌い出しから鳥肌モノで文句の付けようが無いが、オーディオ的にはもっと膨らませても良かった。
6曲目「META! メタ太郎」。捉えようによっては本アルバム1番の問題作かもしれない。この世には"ヴァイキングメタル"というジャンルがあるそうな。まあ、そういった知識がなければ、円谷プロの特撮の主題歌に水戸黄門をミックスしたような曲、としか説明のしようがない。ただ、この曲がこのアルバムにあるのとないのとでは、アルバム自体の存在意義が大きく変ってくる。何をしても許されるという環境を手に入れたとしても、それで守りに入らずに冒険するというのは、なかなか勇気のいる事だと思うのだ。この曲は、進化し続けるベビメタの姿勢でもある。
この項続く。