ライブラリーを作ろう! 2

ポータブルMP3プレイヤー用のライブラリー作成は、遅々として進んでいない。実は、70曲程度を終えた時点で、暫定的に聴いてみたのだが、当時のCD音源と最近リマスターされたそれとでは、あまりに音質や収録レベルに違いがありすぎた。そこで、もう一度リッピングをし直して、レベルと音質の調整を行ってからエンコードする事にした。もちろん、マスターから起こすわけじゃないので限界はあるが、まずは2005年発売のリマスター盤と、当時のオリジナル盤を分析・比較してみる事から始めてみる。
用意したのは、おニャン子クラブの2ndアルバム「夢カタログ」(1986年発売・写真左)と、それが丸ごと収録されたリマスター盤「おニャン子クラブ大全集上」(2005年発売・右)だ。

検証に使う曲は「およしになってね TEACHER」(佐藤準 作編曲)。デビュー曲「セーラー服を脱がさないで」(同)の大ヒットを受けて同じ路線で制作された2ndシングルだが、当時、佐藤準の標榜していたのは、モータウンサウンドの様な60年代ポップスで、いわゆる“80年代ポップス”全盛の当時としては、かなり異質なサウンドに仕上がっている。音は左右に大きく振り分けられてはいるが、楽器の音自体は中音域主体で、そこへ、声質も何もかも全く関係なく集められた10代後半〜20代前半の女の子達が、一斉にユニゾンで切り込んでくると、大きな音の塊が出来上がる。この混沌とした音の塊が創り出す疾走感は、J・A・シーザー(演劇実験室◎万有引力)の合唱曲にも似て、一度嵌ると容易には抜け出せない強烈な魅力があった。

話を元に戻そう。リッピングしたファイルをフリーのWAV編集ソフト「Sound Engine Free」を使って解析してみる。WAVファイルを放り込んだら“解析”タブ一発で、すぐに録音レベル等の詳細が表示される(上がオリジナル、下がリマスター音源)。

これを見ると最大音量で約0.6db、平均音量で約4dbの開きがあるのがわかる。聴感上の平均音量であるオートマキシマイズ値では3.5db程だ。ここは単純に大きいほうへ合わせればいいので、オートマキシマイズ機能で“-13db”に設定する事にした。
次は音質調整である(実際には付属のビジュアルを使い再生帯域の波形を表示させて比較しているが、画像は省略する)。波形を見ると、予想に反してあまりハイ落ちしていない。当時の印象ではやけにくぐもった感じを受けたが、改めて検証してみると、楽器の音自体は塊の様な印象だが、音場感の様なものは意外と綺麗に設定・録音されていた様だ。リマスター盤だとこれが更にはっきりとしてくる。例えば、1コーラス目の ♪〜絶対絶命赤点ね、の後に短いサックス音のフレーズが入るが(時間的には00'43"頃)、このフレーズはかなりスリリングで、その直後、新田恵利の金属的な声へと連なっていく感覚が気持ちいい。彼女の声は、地声でどこまでも出てしまう様な錯覚すら覚える超高音が特徴で、同時に軽く鼻にかかった、甘えるような歌い方が魅力だ。ここからのソロ部分は、当時からそういった鼻にかかった声として認識していたのだが、リマスター盤を良く聴いてみると、“鼻にかかった声”ではなく、明らかに“鼻声”だww 恐らく彼女は、この時風邪気味だったに違いないと確信したがw まあ、それくらい良く録音されているのだ。
さて、話をまた元に戻そう。全ての曲が当てはまるわけではないが、意外とハイ落ちしていない事は判った。また、最近のドンシャリ傾向にも辟易しているので、イコライザー調整は、全体的に多少シフトアップする程度で十分だろう。これが終われば、残す作業ははエンコードだけだ。それにしても長かったなあww