大滝詠一 『ロング・バケイション 30周年盤』 発売!(後編)

大滝詠一本人も言っている様に、今回のリイシュー盤のメインは"純カラ"である。純粋なカラオケなので、各楽器の音がしっかりと聴き取れるし、何よりもアンサンブルの仕組みがよく判るのがいい。また、大滝サウンドで重要な役割を担うSE(効果音)がより効果的に聴こえるのも、純カラならではであろう。ところで、カラオケ付きの20周年盤が1枚のディスクに収まっているのに対し、今回は2枚に分かれてしまっているのだが、これには理由がある。実は、純カラの更にボーナス・トラックとして、「君は天然色」のオリジナル・ベーシック・トラックが収録されているのだ。このため1枚のディスクに収まらなくなってしまったというわけである。そして当然ながら、今回の記事のメインも、この「君は天然色」のオリジナル・ベーシック・トラックについてである。
そもそも「君は天然色」のオリジナルはサビのキーが、正式にリリースされたものよりも全音高い音程だったのだが(♪おーもいでーは…の部分)、いざレコーディングの段になってみると、どうもボーカルがよろしくない…要するに高すぎたのだが、オケを新たに作り直す時間も無い。そこでエフェクター(ピッチ・シフター?)を使ってサビのみ全音下げてしまうという力業を使ったのである。正規版を聴いてみると、このサビの部分だけが異常に音質が悪いのに気が付くのだが、まだこの事実を知らなかった頃は、フェイズ・シフターを使って、わざとうねりを出しているのだと勝手に思い込んでいたものだw
さて、今回の「君は天然色」だが、Disc-2の1曲目に入っているのは、シングル・バージョンと同じく、冒頭でのチューニングの様子がカットされているのだが、11曲目に収録されたボーナス・トラックのベーシック・トラックは、このチューニングの様子プラス、直前のキュー出しの声(大滝)まで入っています。
さて、固唾を飲んで、ひたら耳に神経を集中させてその時を待ちます。いよいよサビ! おぉぉぉぉぉーーー! この全音上げ!これがオリジナルなのか!…何かこう、ビートルズのレアなブート盤に出会った時の様に、全身に血がたぎる! いやあ、これは凄い!というか、これで歌ったバージョンもきっとあるんだろうなあ。こうなると、そのお蔵入りバージョンも聴いてみたいww 正直、この1曲の為に2,625円也を払っても惜しくない…というか、はっきり言ってお布施です、ハイ。
因みに、このオリジナル・ベーシック・トラック、"ベーシック"ですので、いくつかの楽器や、楽器のソロパート、SE等は入っていません。が、その分、この曲の正体が見て取れる様な気がします。


初回限定盤は三方背ケース付き。CD2枚組はオリジナル盤では初?