女子の面倒くせーやつ

1週間前の事。綿矢りさが久々にTV出演するというので、正座して拝見しましたw メディアへの露出ってのは新聞等の対談を除けば、恐らく芥川賞受賞以来の事じゃないのか? それにしてももう10年か。17歳の少女はきっと素敵な27歳の大人の女性になったに違いない、などと勝手な想像を巡らしていたのだが、実際にTV画面に映し出された彼女を見て、ちょっと拍子抜けした。なんか、同世代の女子が見たらドン引きしそうな処女ルックに、髪型も何も10年前と殆ど同じ。アップで映し出されると、ナチュラルメイクにちょっと寄り目がちの大きな瞳、話し慣れていない標準語はまるで子供がおしゃべりしている様。つま先とひざをきちんと揃えて座る、なんて事にも気が回ってない。何と言うか、10年前と全然変わってねーw そういえば、芥川賞受賞の時は、ひざ小僧をすりむいたまんま記者会見に臨んで、記者から突っ込まれてたっけ…。
今回のTV出演は最新刊『かわいそうだね?』のプロモーションの一環である。このTVを観て、そのまま書店に向かった人も多かっただろう。まあ、自分もそうだったんですけどねw というわけで、早速読んでみました。まず、ページをめくる前に、帯に書かれた一文「女ってほんとに厄介。」。これ、書店で平積みになっていたので否応無しに目に飛び込んできたんだが、その時点で既に暗澹たる気分に…。もし、自分の予想が正しければ、また『勝手にふるえてろ』とか、あの路線なんだろう。ページをめくり話を読み進めて行く。果たして予想は当たっていた。結局、女子の面倒くせー話。内容は男女の三角関係で、現彼氏が、経済的ピンチに陥った元カノを自分のアパートに住まわせる。たったこれだけの話だ。当たり前だが、現実世界だったら、この話は破綻の方向以外には進まない。んー、何だろう? これ、面白いのかなあ? 主人公はデパートの店員なんだが、このデパートの記述がやたらと詳しくて、なんだか"デパート物語"でも書いたほうがいいんじゃない?なんて思ってしまうほどだし、あと、彼女の勝手な思い込みによる行動が、やはり目に余るんだな。とにかく自分の都合の良い方向にしか解釈しないその性格にイラついてしまう。例えば、英会話スクールでその悩みを講師に打ち明ける場面がある。同席した外国人女性は、最初は彼氏の立場に理解を示すが、話を進めるうちに「ex」は問題外だと言う。「ex」とは「元彼、元彼女」「元夫、元妻」という意味。そんなのは誰でも知っている。バンドのメンバー表に「ex-Oasis」と付けば、元オアシスのメンバーだ、なんてのは中学生でも判る。なのに、この女「クリスマス」だとか「十字架」だとか勝手に解釈しやがった。こうなると、うーんと唸りながら後半を読み進めることになる。
『夢を与える』が失敗に終わり、それ以降、彼女ももがき苦しんだようだが、一連のこの路線はどうなんだろう? もう少し別の路線があるような気がするのだが…。例えば、文庫本『インストール』に収録された『You can keep it.』。ああいった短編路線でもいいような気がするのだ。短いやり取りの中にもしっかりとした心理描写があって、それに彼女独特の、あの素晴らしい情景描写がある。それだけでいい。


ほんとに厄介。

かわいそうだね?

かわいそうだね?