胡椒爆弾? TALISKER 10

タリスカー10("TALISKER 10")、実は初体験である。最初にちょいと気になったのは、その箱。左上方に斜めに刻印された"SKYE"の文字と謎のマークが。その横には小さな文字で"TALISKER"とある。これ、箱をよく見ると、実はスコットランド地方の地図が型押しされており、謎のマークは方位。文字はスカイ島にあるタリスカー蒸留所の位置を指していたのだ。


スカイ島にある蒸留施設はタリスカーのみで、一般的にアイラ島以外の島で造られるこれらのシングルモルトを、アイランズ"ISLANDS"と呼ぶ。そのアイランズの代表がこのタリスカーで、かつて「舌の上で爆発する」とか「強烈な胡椒風味」とか言われていたが、所有がMHD(モエ・ヘネシーディアジオ)に変ってから、やや大人し目の味わいとなったようだ。
早速、タリスカー10行ってみましょう! 例によってテイスティンググラスに鼻を突っ込むと、潮の香り。煙臭さとヨード臭が鼻腔をくすぐる。アイラモルトに近いが、アードベックの様な粗野な感じはなく、どちらかといえばボウモア系で、ちょっと上品。口に含むと、 ---ここで、一呼吸ある。「ん?」という疑問符が頭をよぎった次の瞬間---  どっか〜〜〜ん!! と大爆発を起こすww 何これ? これで大人しくなっただと? とんでもない! そして、とてつもなくスパイシー、これが胡椒風味というやつか。のちにフルーティとなり、この余韻がとてつもなく長く続くのだ。この余韻の長さは、アイラモルトと比較しても別格だ。それでも最後には、非常に上品な収まり方をするのだ。
次にティースプーンで少しずつ加水して、香りや味の変化を楽しんで行く。徐々に甘さは増していくが、最後、刺激的な辛さはきちんと残して、やはり上品な締めくくり方をする。ここで、ふと気付く。くちびるが、まるで本物の胡椒を口にした時の様にピリピリとしているではないか。安いウイスキーの、あのアルコールのピリピリ感とは全く違う刺激なのだ! この後、トワイスアップまで加水する。ボディーは弱くなるが甘みは増し、極めて上品なモルトへ変貌して行く。だが、刺激的な感覚は抜け切らず、最後までくちびるは痺れたまま。ちょいと怖くなるw
アイラ島より北に位置するスカイ島。そういった風土のせいか、極めてすっきりとした印象だが、内包された刺激はアイラモルトを圧倒する。それでも上品に収まってしまうところが素晴らしいと感じた。さて、今夜も刺激的なやつを1杯やりますか。


TARISKER 10 700ml Alc45.8%