北大路欣也版『剣客商売』始動!

いまだ根強い人気を持つ、池波正太郎原作の時代劇『剣客商売』。藤田まことの死後、長らく新作が待ち望まれていたが、今回、北大路欣也をその後任に据え、遂に新シリーズが始動した。
とはいうものの、同じく池波原作の『鬼平犯科帳』でもそうである様に、既に原作は尽きているので、同じ物語を延々と繰り返しているに過ぎない(時にはふたつの原作を無理矢理繋ぎ合わせて使ったりもする)。鬼平ではメインキャストがほぼ固定化しているのに対し、剣客は息子秋山大治郎や佐々木三冬などが次々と変更されている。鬼平はほぼ全員が同じ様に年を取って行くので、もうよれよれw まあ、味があってよろしいと言えばそうなんだが、中村吉右衛門の殺陣も以前の様な切れも豪快さも消えてしまったし、多岐川裕美のかつての美貌も…。それよりも何よりも、相模の彦十役の先代江戸屋猫八が鬼籍に入り、後を継いだ長門裕之も程なくして同じ道を辿ってしまったり、与力の佐嶋忠介役の高橋悦史がガンを患って、酷くやつれた姿で登場したり、もう、古くからの出演者達が、命を削って演じているとしか思えない。それに比べれば、剣客シリーズは、刷新される若いキャスト陣のおかげか、藤田の演技もシリーズ毎に若返るようであった。
さて、今回のシリーズ、北大路だけでなく、全てのキャストが一新されているのだが、そんな中で演じる彼の秋山小兵衛はいかに、と、画面に釘付けになる。藤田の真剣勝負以外での飄々とした演技(特におはるとの絡みなど)は、北大路では、ちょいと硬くなりがちかと思われたが、藤田の台詞回しなどをかなり研究したと見えて、藤田版小兵衛を見事に踏襲していた。まあ、新シリーズ第1作目ということもあって、これはこれで良かったのかもしれないが、北大路ならではの小兵衛を作った方がよかったような気もする。いや、これは贅沢な注文だろう。なにしろ、他の若いキャスト陣が、本当に若すぎて、演技がかなり酷いのだw 恐らく、北大路を始めとして、年配の俳優陣はかなりの苦労を強いられているはずだ。でもまあ、藤田版でも、そういった若々しさがこのドラマのひとつの売りで、彼等が役者として成長して行く様を見るのが実は楽しかったりする。今後、このドラマと供に成長するであろう彼等に大きな期待を寄せよう。ただ、三冬役の杏の袴姿は、もうちょっと何とかならなかったのかなあw