ウイスキーに合うアルバム No.10 - トーキング・ヘッズ 『リメイン・イン・ライト』(1980)

80年代のアルバムから最高の1枚を選べ、と言われたら、散々迷うだろうが、最終的にこの『リメイン・イン・ライト』(TALKING HEADS "Remain in Light" 1980)になる様な気がする。
当時、彼等が来日した時のライブがFMで放送され、それをエア・チェック(なんか懐かしい言葉w)して、毎日のように聴いていたのだが、メイン楽器がそれぞれ2組で、別々の演奏をしていた事に衝撃を受けたのを今でもよく憶えている。当時も今も、アルバムの評価は非常に高く、それは、バーンの頭の中身が完璧に表現されたという事なんだろうけど、と同時に、ブライアン・イーノのプロデューサーとしての手腕が非常に高かったという事でもある。彼にとって、この作品は三度目の正直で、最高の代表作、というか、出世作となったのは言うまでもない。この作品について、イーノがインタビューに答えていたが、例えば、最新機器が装備されたスタジオで音を作る時、大抵の作品は、その機械を使って出来る最新の音を作ってしまい、アーティストの持ち味は半減する、みたいな事を言っていた記憶がある。因みに、このアルバムはバハマのコンパス・ポイント・スタジオで録音されている。



さて、ウイスキーである。このアルバムの印象は、何故か暑苦しい夏である。もちろん、どの季節をも経過している筈なんだが、何故か気分は夏なのだ。それは、後に観た、当時のライブ映像の印象が強かったせいなのかもしれないし、前述した通り、このアルバムがコンパス・ポイントで録音されたからかもしれない。ただ、このアルバムを聴いている時は、必ず酔っ払っているw だから、(特に)ウイスキーは、自分の中ではもうワンセットにみたいになっているのだ。



1曲目、「ボーン・アンダー・パンチズ」(Born Under Punches (The Heat Goes on) )、ティナ・ウェイマスのベースが怪しげに響く中、バーンが詩人の様に高らかに歌い出す。途中、エイドリアン・ブリューの有りえないギター・ソロに驚嘆し、しゃっくりとも悲鳴ともつかない叫びに肝を冷やす…。なんか、濃い目のロックでチビチビやるという感じじゃなく、ハイボールなんかでグイグイ行きたくなる気分だ。基本的にはアフリカン・ポリリズムで、かつ、ワンコードもの(いわゆる、ミニマルというやつ)が多いので、「グレート・カーヴ」(The Great Curve)みたく、絡み付く様にひたすら繰り返す二本のコーラスなんかを聴いてると、頭の中がぐるぐると回り出してくるw ある意味、酒をじっくりと味わうのではなく、ドラッグ寄りの感覚でやりたいという時にはぴったりだ(何じゃ、そりゃw)。



Remain in Light (Dig)

Remain in Light (Dig)

数あるリイシュー盤の中でも、これがお勧めかな。CDとDVDのデュアル・ディスク仕様で、DVDには5.1他、ハイレゾ音源等がてんこ盛りなのだ。