DENON DP-F300の音質を改善してみる(その3)

普及機であるDENONのレコードプレイヤーDP-300F。音質的な問題は主に品質の低い部品や重量に因るところが大きいと思うのだが、それとは別に常々思うことがある。それは針圧だ。一般的には重い方が音圧が稼げるが重くし過ぎても針や盤に負担がかかり破損の恐れもあると言われている。これはそもそも論だが、ゼロバランスは目視で確認するが、どちらかといえば針側に重心が行く方が安全なため、そうなりがちなんだが、そこでウエイトを調整して、ハイ出来ました、って、これが信じられないんだよね。ここを数値の様なもので確認できれば安心するんだが…と、ネットで調べてみると、今は針圧計なるものが売っているではないか、しかも安価で!もちろん中華製!
というわけで早速購入。1,500円くらい。これ、中華製だけあって精度的にはどうなのか心配なんだが、一応錘が付属していて、事前に検証が可能となっている。実際に使ってみると、やはり思っていた以上に針圧に狂いが生じている。ウエイトを調整して正確な値に持って行くのがすごぶる難しいのだが、何とか合わせられた。最後にアンチスケーティング値を設定すれば完了だが、これは基本的にカートリッジの針圧と合わせれば問題ない。

ネットでも使用方法がまちまちなんだが、一般的にはターンテーブルのシートを外して計測する。位置はあまり関係ないと思うが、アームの止まる位置で計測。

さて、試聴してみると、むむむ、まるでベールがひとかわ、いや、ふたかわくらい剥けた感じだ。やはり、針圧の調整は侮れない。当たり前だが、この部分が一番調整が難しく、しかも音質のキモだと思うのだ。また、今回はスルーしたが、本来であればカートリッジの微妙な角度のズレの調整も必要なのだろう(CD音源との比較では現時点で左右の音量の違いはなかった)。
今回は計三回に亘って対策を紹介したが、どれもが非常に効果的であった。特にディスクスタビライザーは気休め程度の購入であったのに、思いの外効果が出たのには驚いた。今更だが、やはりレコードプレイヤーは奥が深い。というか、なんの調整も対策もしない場合、それなりの音しか出してくれないというところが怖いところ。逆に、手をかけてやればどんどん音は良くなる。そういったオーディオの基本的な部分を今回は久しぶりに思い出した。
この項、完。