ナットが回りにくくなったTAMAのユニバーサルクランプMC66のパーツを交換してみた。

ドラムのスタンド類に小径のシンバルやパーカッションの類を追加でセッティングする際に、もっとも重宝するのがTAMAのユニバーサルクランプMC66だ。


現在三つ所有しているのだが、そのうちの一つが不調だ。実は三つのうちのふたつは中古品で、そのうちのひとつが買った時点から問題があった。それは、使っているうちにネジ山が潰れてしまい、ナットが回らなくなる現象だ。このクランプは中国製造で、もちろん、品質はTAMAが厳しく管理していると思われるが、今どき極めて質の悪いネジというもあまり存在しないような気もする。とりあえず、手持ちのダイスでネジ山を切り直したのだが、今回で二度目、これ以上の切り直しは危険だろう。というか、そもそもの原因は一体どこにあるのだろうか? その究明が第一だろう。
この製品のキモはこの片側がワニ口になっているところ。このおかげで素早い取り付けが可能となっており、セッティング時間が大幅に短縮できる。今回の不具合はこのスプリングが被せてあるロッドのネジ山が潰れてしまい、ナットが回らなくなるという事例。
下1/3辺りのネジ山が全て潰れているのが判る。

そこで締め付けが固くなる状況を何度もつぶさに観察してみた。すると、本来なら水平状態にあるべきスプリングの先端が微妙に曲がっていて、ほんの少し同心円から外れて更に上方向へ向いている事に気付いた。そのままナットを締めて行くと、非常に見えにくいのだが、先端がネジの溝に嵌って、その上のワッシャーが行き場を失った状態で動きが固定されてしまう事が判った。この状態から更にナットを締めて行けばネジ山が潰れてしまう事になる。とにもかくにも、全ての原因は、スプリングの先端が曲がってしまった事に由来していた。そうであれば答えは簡単!ひっくり返して使えばいい、と思ったのだが、逆側、つまり下側には異常な力が加わるらしく、こちらも変形していることが発覚!  それならば、このスプリングの先端を矯正するか、カットしてしまえば直りそうな気もするのだが、このスプリング、非常に硬いので矯正は難しいだろうし、また、カットした場合、上部ワッシャーが斜めの状態になって、スムーズに動かなくなる可能性が高い。


スプリングが溝に嵌り、更に上のワッシャーがロッドに噛んで動かなくなっている。

スプリングの先端。本来ならばロッドの溝に対して平行でなければならない最後のひと巻きが、僅かに上方向へ変形しているのが判る。

TAMAのサイトでパーツを調べてみると、幸いな事に分売しており値段も手頃だったので(WN8SPW ナット、ワッシャー×2、スプリングのセット。330円)、早速取り寄せてみた。因みに、部品のうち、ワッシャーが1個欠品していて送り返そうかと思ったが、今回は必要ないパーツなので無駄な時間と手間を惜しんで無視した。また、ネジ山の潰れた方のボルト自体は分売しておらず、本体側とセットとなっていて4,000円。こうなると、サウンドハウスならあと500円で新品が買えてしまうので、今回はそのまま使い続ける事にした。


パーツのセット。このうち2個あるはずのワッシャーが1個欠品。スプリングは若干柔らかいものに変更された可能性がある。

さて、交換。切り直したネジ部分はパーツクリーナーで洗浄して切削で出た屑は洗い流してある。一応、グリスを塗って新しいスプリングを装着。念のためナットも新しいものに交換。う~ん、これはいい!
しかし、後になって考えてみたら、同じ様なスプリング、ホムセン探せば売ってそうな気がするなあ(笑)


ナットが途中で止まることなくスムーズに回って、スプリングが最後まで綺麗に潰れている。


実際にセッティングしてみたが何の問題もなく取り付けられた。完璧。

今回は非常にニッチな記事だとは思うが、もし同じような現象で困っているドラマーのお役に立てれば幸いである。それと、TAMAはこのネジ山が潰れた方のロッドのみを単体で分売して欲しい。このロッド1本の不具合で本体の半分以上を占めるパーツごと交換というのは、いくらなんでもったいない思う。時代はSDGsだぜ。