Drummer's Position

一般的に言えば、ドラマーはドラムセットのあるその位置から動く事はない。大抵は中央の後方であるから、他の楽器の音は、前方へ向かっているため殆ど聞き取る事が出来ない。というか、何よりも、自分で叩いている音の方が、遥かに大きいのだ! そもそもライブハウスでもスタジオでも、極めて狭い空間の中で大音量で音を鳴らすため、いわゆる“音が回る”という現象が起きる。位相が錯綜するのだ。それに加えて、他の奏者は殆ど背中を向けているので、特にライブでは、曲のどの辺りを演奏しているのかが極めて判り辛い状況下にある。自分の小節カウントを信じる以外には、せいぜい、ギタリストやベーシストのネックを握っている位置や、キーボードのコードを押さえる指の形をチラッと見て確かめるくらいしか他に方法がないのだ。
ところで、多くのドラマーが、楽曲に於けるドラムのミックスについて、かなりの違和感を持っているのをご存知だろうか? それは、右利きの数だけ存在する違和感。つまりこうだ。ドラマー側から見たドラムのセッティングは、左から、ハイハット、スネア、タム、フロアタムの順に並び、中央にバスドラ、左右上部にクラッシュ、右にトップシンバルが配置されるのが一般的だ。しかし、これが客席側から見ると逆転してしまう。つまり、配列が右からのそれになってしまうのだ! そして、ライブ盤に限らず、多くのスタジオ録音盤でも、常に左右が逆転した形でミックスされているのだ。要するに、多くのリスナーにとっての常識が、右利きドラマーにとっては全くもって逆なのだ! 唯一共感出来るのは、左利きのドラマーのそれで、有名どころでは、Genesisフィル・コリンズや、Deep Purpleイアン・ペイス等が挙げられる。客席側(オーディオセット)から聴く彼等の音の位置は、右利きのドラマーにとっては、まさに慣れ親しんだ位置なのだ。


※ドラムセットの隙間から、ギタリストやキーボードの手の位置を見て、何処を演奏しているかを確認する!
DTM等で曲を作ると、無意識のうちに左右が逆転したドラム配置にしてしまうww