MARS AMBER (マルス アンバー) マルスウイスキー

国産ウイスキーはニッカとサントリー、後はキリンくらいしか知らないという人も多いかと思うが、もちろんそれだけではなく、小さな国産ウイスキー・メーカー、及び、それらが所有する蒸留施設は幾つもある。その中には既に新たな仕込みを止めてしまった蒸留所もあり、それらはなかなか一般市場に出回る事は無く、いわゆる“幻のウイスキー”と呼ばれたりもする。
今回紹介するのはマルスウイスキーの“マルス・アンバー”である。マルスウイスキーは鹿児島の焼酎メーカー“本坊酒造”が作るウイスキーで、販売は蒸留所直販が主で、一般流通に乗る事は稀である。蒸留施設は長野県の駒ケ岳山麓に位置するため、入手には困難を極める。ところが先日、(距離的に)普段は訪れない量販店で、このマルスウイスキーに出くわしたのである! とりあえず、棚に並ぶ二種の「MARS AMBER」と「3&7」をすぐさまゲット。もちろん、これらのウイスキーを飲むのは初めてであるが、何時入手困難になるかも判らないので、後悔しないためにも、即買いしたという次第。今回は、そのうちの“マルスアンバー”についてのレポートである。
さて、初めて飲むマルスウイスキーマルスアンバー、その味は…。当然ながら、最初はストレートで味わう。口に含んだ瞬間、懐かしいピリリとした辛さが広がる。最近の国産ウイスキーは、ずいぶんとまろやかで、甘ったるい味わいになってしまったが、これはかつての、そう、2000年以前までの国産ウイスキーの味わいそのものである。マルスウイスキー最後の蒸留が1992年3月との事なので、この味には納得できるものがある。さて、次にお決まりのトワイスアップ(ウイスキーと同量の加水)。瞬間、その表情は一変する。甘い麦の味わいと、嫌味の無いカラメル香が鼻腔に広がるのだ。こちらは、最近はやりの味であると言えよう。最後にいわゆる“水割り”で試してみる。と、これはさずがに樽香もカラメル香も弱まってしまうが、その分食中酒としては申しは分なく、素材の味を壊すことが無いと思われる。個人的には、飲み方によって様々な表情を見せるこのウイスキーは悪くない、というか、最近の甘ったるいカラメル香全開のブレンデッドよりは遥かに面白い味わいであると感じた。もしも手に入れる機会があるのなら、是非その味を堪能してもらいたい。


河内屋で特売価格1030円。価格相応の味は期待できる。