『3&7』 マルスウイスキーの話

以前、量販店でマルスウイスキーを見つけ、その時は『マルス・アンバー』の記事を書いたのだが、その後、本坊酒造をネットで調べてみると、長らく休止していた駒ケ岳の蒸留所が今春より再稼動するとの事。手元のモルト専門書を見ると最後の仕込が1992年の3月とあるので、実に19年ぶりの稼動となるわけだ。もちろん、この背景にはここ最近のウイスキーブームがあるわけだが、とりあえず量販店に販売の活路を見出したことにより、今後の安定した供給が期待できる様だ。
さて、今回取り上げるのはマルスウィスキー『3&7(スリー・アンド・セブン)』だ。この"3&7"のネーミングは、3年以上のグレーンと7年以上モルトブレンドされているという意味で、モルトの混和率としては最高との事。謳い文句は「森が薫るウイスキー」だが、もちろん味わいは"アンバー"と同系統。しかし、アルコール度数は"アンバー"より1度低い39度となっており、幾分穏やかな印象を受ける。もちろん、このクラスに価格以上のものを望むのは酷だが、90年代のウイスキーらしくすきっとした飲み口で、現在主流となっている、カラメルっぽい甘さが感じられないのがいい。加水すると、いかにも麦といった風味が全体を支配する。このあたりも"アンバー"と同系統。個人的には、今後も大手メーカーの甘口傾向に組しないブレンドを期待したい。


河内屋にて1,030円で購入。独特のボトルデザインが価格以上の雰囲気を醸し出す。