中村とうよう氏が死去。死因は飛び降り自殺らしいとの事。
とうよう氏と言えば、「ミュージック・マガジン(当時:ニュー・ミュージック・マガジン)」創設者の一人として有名だが、数多くのライナー・ノーツを手掛け、辛口な評論家としても有名だった。また、世界の民族音楽に精通し、ワールド・ミュージックとして世間に広く知らしめた。
それにしても気になるのは、最近続いている音楽関係者の自死である。しかも、加藤和彦、今野雄二といった、比較的高齢者のそれである。それにしたって、音楽に生涯身を委ねて生きてきたにも拘らず、生に対して、その音楽が何の力添えにもなっていないところが、何と言っても虚しいし、また悔しい。いや、もちろん、音楽に対して過度の期待はしていないが、それでも、ほんの少しでも、何かの力になれるのだと信じたいのだ。もちろん、本人が耳を閉ざしてしまえばどうにもならないが、もしも、その時、その場所に、本当に小さな音でも、何か音楽が鳴っていたら…と思う。音楽のある空間から自死を選んだとは、どうしても思いたくはないのだ。
- 作者: 中村とうよう
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/09/20
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個人的に最も影響を受けた氏の作品。独自の切り口からポピュラー音楽の世紀を総括する。