北方謙三 『史記 武帝紀』文庫版刊行!

遅ればせながら先月…ついに北方版『史記 武帝紀』の文庫版が刊行になった。かつて北方は『水滸伝』執筆中に、『楊家将』及び続編となる『血涙 新楊家将』を同時に執筆しており、その作家としてのバイタリティには目を見張るものがあったのだが、今回の『史記』も『楊令伝』との同時執筆であった。しかし、『楊家将』はその話が『水滸伝』シリーズの核となる"青面獣楊志〜楊令"への物語へと引き継がれる内容となっているので、モチベーションが維持されるのは、まあ、納得できる。しかし、今回の『史記』は中国の歴史書の原点ともなるべきものなので、内容が他の作品とはリンクしていない。おまけに、他にも多くの作品を同時執筆していたのだから、本当に恐れ入る。
さて、今回の『史記』だが、例によって、超長尺モノになるに違いないと踏んでいたのだが、然にあらず。単行本は全7巻で完結している。従って、文庫版も同程度の巻数に収まると思われる。文庫本の前作『楊令伝』は全15巻(例によって「読本」もある)、更にはその前作だった『水滸伝』に至っては全19巻だったので、それに比べれば、月イチ刊行でも我慢出来る巻数ではある…と思ったら、これ、月イチじゃないの? む〜ん、これじゃあ、ちょいとばかり待ち遠しさが募るじゃねえか。
北方は、『水滸伝』『楊令伝』に、現在執筆中の『岳飛伝』を加え、『大水滸』として完結させる予定である。『岳飛伝』は現在第4巻まで刊行されており、完結にはまだまだ数年は掛かりそうだ。となると、この文庫版『史記』の刊行が終わった後には、その隙間を埋めるものが無い…。なんたって、クソ熱い漢(おとこ)の話を書ける作家なんぞ、そうそう居るもんじゃないからなw

史記 武帝紀 1 (時代小説文庫)

史記 武帝紀 1 (時代小説文庫)