ビートルズのリマスター盤、とりあえず『THE BEATLES』(ホワイトアルバム)を聴いてみた!

本題に入る前に、前回の記事中にある“リマスター”と“リミックス”の定義について、あやふやな表現があるので、最初に詳しく書いておく事にする。今回の最新盤に於けるリマスター作業とは、“オリジナルのステレオ・アナログ・マスター・テープ”に対して調整・修正を施したもの、というのが公式の見解となっているようだ。マスターテープとはマルチトラックからミックスダウンされた、製品前の最終形なので、基本的にステレオの2CH分しか弄る事は出来ない。要するに、楽器の音ひとつひとつを調整する様な作業は不可能で、もし、こういった作業のために、マルチトラック単位まで遡ってしまうと、これは“リミックス”として扱われるようである。例えば、『Yellow Submarine Songtrack』収録の「Yellow Submarine」に於ける、極端に強調されたSEは、トラック単位で弄らなければ不可能である。だから、あのアルバムは“公式リミックスアルバム”なのだそうだ。また、例の「Eleanor Rigby」の♪Eleanor Rigby〜(のEle)部分でのミックスミスも、同じくトラック単位まで遡らなければ修正は不可能である。今回はリマスター作業なので、この部分の修正は最初から対象外であるが、それ以前に、もうこのミス自体が曲と一体化してしまっているので、今更不可分であるとの判断が下されたというのが本当のところだろう。ところで、旧オリジナルCD盤に於いて、実は『HELP!』と『Rubber Soul』の2枚に限り“リミックスアルバム”である。これは旧CD盤が発売されてから後、かなり経ってから明らかにされたのだが、つまり、ジョージ・マーティンの手により、トラック単位まで遡り、調整・修正がなされたアルバムであるという事だ。そして、今回の最新リマスター盤に於いても、この2枚に限り、このリミックスされたマスターが基本となっているので、この部分のみ注意が必要である。因みに、この2枚の完全なるオリジナル・ステレオ・マスター盤は、今回同時発売された『MONO BOX』に収録されている。
さて、前置きが長くなってしまったが、いよいよ最新盤の「ホワイトアルバム」について解説してみよう…と思ったのだが、あまりにも長すぎるので、この項、つづく。w


初回限定盤仕様の「ホワイトアルバム」。製品固有番号(ナンバリング)は廃止されている。オマケであるポスター兼歌詞カードはミニチュアで再現されているが、曲順記述はCD仕様である。ジャケットは4面開きで、今回付属されなかった各メンバーのポートレートが、ここに印刷されている。日本語解説、歌詞対訳付き。