ノルカソルカ

スーパーの鮮魚コーナーをうろついていると、たまに珍しいものに遭遇したりする。まあ、鯨は見つけ次第、即捕獲。これ、当然ね。かつて、貧しかった時代の日本の食卓を支えた肉だぜ。昔は豚ですら高価で、牛なんて金持ちしか口に出来なかったんだから、全く持って鯨様様だぜ。鯨の竜田揚げを食って、今のおっさんは大きくなったんだ。どこぞの反捕鯨団体の属する国じゃ、おーじーびーふなんてものを食いまくって、それを積極的に日本に輸出してるらしいぜ。なんでも、家畜と野生の動物とでは命の尊さが違うらしい。日本の漁師は、鯨塚なんてものを建立してその魂を祀っていたんだ。そうやって命を食らって人間は生きているって、この国じゃ子供でも知ってるぜ! あー、鯨の刺身サイコー!
というわけで、先日見つけたのは、鯨と、もうひとつ、"のれそれ"という得体の知れない魚。ん〜と、この名前だけは聞いたことがあるけど、なんだっけ? パックの中身を凝視すると、白魚くらいの大きさの半透明の小魚なんだが、形がよくわからない。こうなると、迷わず買ってしまうというのが自分の(恐らく良くない)性格なんだろうw とりあえず、旬のものには間違いないんだろうから、これを肴に酒を呑まずしてどーする! って考え方ね。
さて、この"のれそれ"、食らう前にネットで調べてしまっては面白みが半減する。というわけで、まずは一匹つまみ出してキッチンのトップに置いてみる。ちょいと、なめくじちっくなその容姿。これは、なんとなく鰻の稚魚に似ている。うなぎ…で閃いた。そうだ、思い出した! のれそれって、確か穴子の稚魚だ! えーと、食べ方は、とりあえず、おろし生姜が付いているんだから生姜醤油だろう。後は…酢醤油とかそんなところかな? てなわけで、まずは生姜醤油で頂いてみる。つるっとした喉越しが最高だが、噛んでしまうと、何とも言えぬ酸味の様なものが感じられて、あまりよろしくない。続いて、酢醤油で頂いてみると、こいつは素晴らしい、が、やはり噛んでしまうと酸味が出る。この酸味は、すっぱいの中でも、レモンだとか、梅干だとか、酢だとか、そういうすっぱさではなく、虫唾が走るすっぱさだ。例えるのが難しいんだが、歯の詰め物(金属)の部分にスプーンだとかフォークが触れたときの、あのゾクゾクするすっぱさ。ん〜、余計判りづらいかw まあ、結論としては、のれそれは喉越しを味わう魚ってことだな。さて、もちろん、こういう旬のものは、冷酒で頂くのがよろしい。たまたま気温の高い一日だったので、冷酒が何とも言えず心地良く、知らず知らずのうちに杯の進む春の夜なのでした。


"のれそれ"。やはり、その名前だけで心惹かれるものがある。


一匹だけ広げてみると、結構グロいかもw


こちらはお馴染みの鯨刺し。このサクは当たりで、物凄くやわらかくておいしかった。