いつもの様に書店をぶらぶらしていると、面白いものに出くわした。ビデオ時代にも手に入れたし、BSで放送されていたものも録画したし、もう飽きるほど見たのだから、いい加減必要ないだろ…と一度は通り過ぎた、筈だったんだが、レジに並んでいる時にふと気付くと、手にしていたw 『淀川長治 映画の世界 名作DVDコレクション Vol.32』。収録作品は『戦艦ポチョムキン』と『アンダルシアの犬』の2枚。両作品とも映画史に残る屈指の名作であるが、お目当ての作品は、もちろん『アンダルシアの犬』だ。
『アンダルシアの犬』="Un Chien Andalou(1928)"は、ブニュエルの代表作にしてシュルレアリスム映画の大傑作である。脚本はサルバドール・ダリとの共作であるが、夢の中で見た世界をそのまま映像化したものと言われている。なんといっても有名なのは、女性の瞳を剃刀で切り裂くシーンだ(実際には牛の目玉を使った)。作品そのものは、前述の通り、夢の世界の産物であり、物語性は皆無である。そして、この映画の持つ意味の全ては、見る側に委ねられてしまっている。実験映画的な要素が極めて強いので、商業的にはさっぱりだったらしいが、後の映画界に与えた影響は計り知れないものがある。たかが15分、されど15分なのである。
淀川長治 映画の世界 名作DVDコレクション 32号 2013年 9/18号 [分冊百科]
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